無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ10)

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〇２人目ページ10

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「監督、ちょっとこれを」

析谷はパソコンの画面を監督に見せる。

「念のためこのキャンプ周辺のデータ通信を監視していたんですけど、おかしな動きを見つけたんです」

「そんなことまでできちゃうんですか？」

「僕、フィジカルトレーナー兼データ分析担当兼料理長兼データセキュリティ担当だからね」

「すごっ！」

『何個あるんですか、担当』

子文が驚きの声を漏らし、詩音が疑問符を浮かべる。

彼はそのまま報告を続けた。

「これ、キャンプの敷地内から誰かが外部に大量のデータを送信している形跡です」

「ほう」

その言葉に耳を動かした詩音が食いつく。

『それって、誰かがチームの情報を外部に送っている、ということですか？』

「うん。その可能性が一番高い」

「えぇ！？」

「おい、この中にまだ裏切り者がいやがんのか？」

不動の裏切り者という言葉に空気が張りつめる。また、仲間を疑わなければならなくなった状況で野坂が不敵に笑う。

「そういえば、人狼っていうゲームでも狼は一人じゃない。二人目の狼がいるんだ」

『……なるほど』

1人だと思っていた敵の使徒は何人いるのか定かではなかった。大きな落とし穴に気づいた一同は神妙な面持ちのまま、その日は解散となった。

『……(2人目の、狼か)』