〇特訓 ページ6
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「ここからはデータ分析による個人別のメニューだ。明日人、悠馬、鉄之助」
一通り基本的な特訓が終わると、析谷は1人ずつ違う個人メニューの書かれた紙を渡していく。野坂曰くそのメニューは確かに理にかなっている様子。
「僕はフィジカルトレーナー兼データ分析担当だからね。明王」
「……あ、俺か」
「雄一郎、高志」
不動も少し遅れながらも反応する。万作や岩戸も下の名前で呼ばれることは少ないので新鮮な気持ちと言った表情で紙を受け取りに行く。
「名前で呼ばれるの新鮮でゴス！」
「僕、そういう感じなんだよね」
爽やかな笑顔を見せる析谷は詩音を呼んだ。
渡された紙を見て首を傾げる。この量ならすぐ終わる、と言いたげに析谷を見る詩音。彼も視線を感じたらしくニコリと笑う。
「もしかして、メニューが少なくて驚いたかい？」
『……正直なところ、そうです。この量でいいんですか？』
「君は女子選手だけど、海外の選手にとってみたら紙同然の存在なんだ。どうしても身体の作りが変わってきちゃうからね」
『……』
「だから、素早く動く。細かい様々な動作を熟す。トラップ技術とかパスの精度をあげるとか。そういうのを鍛えてもらおうと思ったんだが、君はもう標準はクリアしていた。だからだよ。あまり身体に負荷をかけるのもよくないからね。」
『……なるほど』
「いい状態をキープするのも、立派な特訓だよ」
『わかりました』
析谷の言うことにはとても納得した。どうしても体格的な差が生まれてしまい、そこの溝は埋められる限界がある。
なら、その他の利点や技術を活かせばいいと言う彼の言い分は最もだと理解した詩音は今の状態を維持するために少ない特訓をわずか30分で終わらせていた。
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作者名：おまんじゅう | 作成日時：2023年12月12日 23時
