無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ47)

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〇笑みページ47

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宙に舞っていた詩音が着地したと同時に点数が入った。そして、前半終了のホイッスルがなる。

「詩音ちゃん」

『アフロディさん？』

アフロディが詩音の方に歩いてくる。詩音は不思議がるけど、その意図を理解すると少しだけ表情を柔らかくして手を差し出した。

パチンと気持ちのいい音がフィールドに響く。

「ナイスシュートだったよ」

『ありがとうございます。アフロディさんのシュートが凄かったので』

「感化されたとでも？お世辞が上手いね」

『お世辞のつもりはないんですけど』

冗談さ、と笑うアフロディ。詩音はまたしてもよく分からない人だな、と思う。

だけど………

『こういうのも、ありですね』

「なんか言ったかい？」

『いえ、なんでも』

「！そうか」

アフロディの後ろにいて誰にもみられなかった詩音の顔に笑み(・・)が生まれた。

その顔を見たアフロディに驚きが映るのを確認した詩音は直ぐにいつもの表情に戻ると2人でベンチに戻った。

ベンチに戻った詩音はマネージャー2人から心配しただの凄かっただのたくさんの感想を貰い、いつもより無表情に拍車がかかっているように見えた。

現在、宿舎にいる女性陣となるとこの3人のみなので自然と詩音が手のかかる妹扱いをされていて周りはほっこりする訳なのだが、本人は納得いかないらしい。

案の定のような、そうでないような、よく分からない詩音だが、それでも彼女なりの成長は確かにあったとジャパンの全員が思っていた。