〇正体 ページ45
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ピーッ。
再開後、アフロディがボールを奪いハーフライン前まで行くとその場で停止した。
「僕の神の目は、すでに真実を捉えている」
すると、彼は破られたはずの技［ヘブンズタイム］を使用した。諦めの悪いヤツめ、と侮るネイビーインベーダーの人達。もちろん、暗示が大前提のこの技は彼らには通用しない。
だが、目的は別にあった。
アフロディが指を鳴らした時、フィールドに風が強く吹いた。そこには小さな竜巻がいくつも現れて見えた。
「あれこそが、地雷の正体さ」
「竜巻……？」
『はい。地雷の正体はあの動きの時に互いに走って風を起こしてできた竜巻です』
だからアフロディは［ヘブンズタイム］で土煙を巻き起こし、竜巻の存在を暴いた、というのが真相である。
「でも、詩音さんはどうして無傷だったんですか？」
『氷浦さんがやられた時、保持していたボールが不自然にある箇所を避けたんです』
ベンチから地面だけを注視していた結果分かったという。
だから、彼女は地雷の源は地上にあるかもしれないという仮説が立てられた。そして、地雷原に押し込まれる際少しだけ強めに地面にボールを蹴った事で手前の竜巻に土煙が混じり姿を現したのを一瞬目視できたようだ。
2度目にバウンドしたボールによって爆発させられたので、詩音が直接踏んだわけではない。なので被害はなかった。
不動の傷は全て打ち身など地面に打ち付けられた時にできた傷だった。
なら、地面に打ち付けられる際に何かしらの対策を取れば攻略は可能では？と言うのが詩音の頭の中で組み立てられた計算式だった。
そして、それは当たりだった。
「さすがですね」
「ああ。本当に彼女にはいつも驚かされてばかりだ」
野坂と一星は並走しながら前を走る詩音の背中を見て笑う。
彼女ほど規格外という言葉が似合う選手はいないだろう。
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作者名：おまんじゅう | 作成日時：2023年12月12日 23時
