無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ43)

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〇強情ページ43

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「！だめだ。それは危険すぎる」

『……でも、それじゃ試合は進みません』

ここまでリスクをおかす可能性がある案を彼女自身が出すことは今までなかったのに、今日は何故か強引さまである。

その際、野坂は詩音の瞳の奥に隠された感情に気づいてしまった。

なら尚更危ない。彼女は自分の危険を視野に入れていない。だが、分からないなにか(感情)を知るために、発散するためにフィールドに来た。

今の詩音は何を言っても無駄だと思わせられる何かがあった。

野坂はため息を着くと人差し指を出した。

「1回だけだ。それ以上やろうとしたら、僕が止める」

『！充分です』

一礼をした詩音はポジションに走っていく。今回はDFだ。

試合開始後、パスを受け取った詩音。

直後詩音は挟まれる。氷浦の時と同じ手口だ。

「詩音！」

「詩音さん！」

「詩音ちゃん！」

みんなが逃げろと言う中、野坂は唇を噛んでその様子を静観していた。これが、詩音の試したいことだった。

“『私が地雷に直接触れてみます』”

彼女に少し恐怖すら抱いてしまう。

しかし、単純に屍になるつもりでもないらしい。なら、打開策が生まれるかもしれないこの作戦にかけるしかなかった。