無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ41)

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〇イライラページ41

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ベンチにいたみんなは不動の周りにしゃがむ。こういう心配とかしなさそうな詩音も同様だ。

色々なところに傷ができている不動は起き上がるのも厳しい様子。

「くっそ……」

「じっとしてなきゃダメだぞ。明王」

「傷の具合はどうなんですか？」

「ただの打ち身や擦り傷ばかりだ。地面に叩きつけられ、転がった時に出来たものだね」

爆発が直接の原因ではないようだ。つまり、本当の地雷という説は完全に潰えた。

かと言って、地雷の正体が見える訳ではない。
正体が分からなければ対策のたてようもなく、野坂やアフロディも難しい顔だった。

ベンチやフィールドにいるイナズマジャパンにとって策もなしに歯がゆい時間が続いた。

事態が動いた。ボールを保持していた氷浦が相手二人に体を挟まれ、敵陣へ押しやられていく。

「氷浦！」

「な、なんだ！」

戸惑っている間に氷浦はそのままセンターラインをこえた所で思い切り前に押し出される。

「氷浦！！」

「うわっ」

爆発が起こり、氷浦も不動と同じように吹き飛ばされる。地雷の餌食となった。残酷すぎる手法に、どこか冷めた感情しか抱けない自分にも少しだけイライラが募った詩音。

それにあの爆発はもしかしたらという仮説も彼女の中で浮かんだらしい。

こんなに自分や誰かに対して明確なものを感じるのは初めてで解放のしどころを求めた詩音は監督の元へ歩く。

『監督』

「なんでしょう？」

『氷浦さんと、交代させてください』