無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ34)

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〇あったかいページ34

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『ただいま戻りました』

今の時間であればみんな食堂にいるだろうと来てみたが、食堂にはマネージャーたちすらいない。

どういうことだろうかと首を傾げた詩音は部屋に戻る。

通り道にあるミーティングルームにも誰もいなかったので探すのを諦めた。詩音は自室のベットに倒れ込む。

今日は何故かどっと疲れた気がする。
そう思いながらベルナルドとの会話を振り返る。

“「君なら、仲間に悟られずに使徒として不自然ない操作が可能だろう？」”

“「確かにイナズマジャパンのような感情に左右されるサッカーは熱く、素晴らしいものだ。だが、勝利をしなければ意味はない。そうだろう？」”

ベルナルドの言葉は的を射ていた。

現状、イナズマジャパンとの “真っ直ぐで楽しいサッカー” を理解出来ていない詩音だ。相手チームも負けているのに、自身のチームと引き分けたチームの人もわらって、楽しかったと言っていた。

勝たなくては、意味は無い。なのに、なぜ彼らは勝ち以外で喜ぶことが出来るのか。その問いの答えは中国戦後から探し続けてもまだ見つからない。

たぶん、仲間を傷つけても命令は遂行できると思う。最悪自身で相手の点数を稼いであげれば問題ないのだから。だが……

『……(本当に？)』

何も感じないで、彼らを欺くことが出来るのか。

今の詩音には、サッカーがなんなのかは分からないし、仲間にどんな想いを抱けばいいかも分からない。

ただ、ハッキリしているのは＿＿＿

『(ここ(イナズマジャパン)は、あったかい)』