無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ27)

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〇分からないページ27

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『(……もうすぐ、終わる)』

試合が残り時間僅かに迫る。この後、勝っても負けても恐らく “清々しい顔” をしてみんなは言うだろう。

「楽しかった」と。
「気持ちよかった」と。

みんな、笑顔でいるだろう。

『………』

何故だろう、自分だけ理解できない領域に取り残される。

そんな不安を感じる必要はないと、頭では分かっていても身体は確かな安心を求めている。安心を確かめられないから不安になってしまう。

どうしたら、人間らしい感情が自分に芽生えるのだろう。

そんな疑問が生まれては解決されないまま片隅に放置されていく。

自分は、この気持ちと一生をかけて向き合わなければならないのか。そう思わない日はない。

眩い光を纏ってサッカーをする彼らに置いていかれる錯覚を覚えるこの瞬間が、詩音はいつも怖かった。

ピッピッピー！

終了の合図である長い笛が聞こえるとみんなが動きを停めた。そして＿＿＿やはり、笑顔だった。

「でも、何て気持ちの良い試合なんだろう！」

『……(なんで)』

そう言う氷浦の顔は笑顔だった。むろん、日本はもちろんスペイン選手も、だ。

「けどよ、引き分けだとやばいんじゃないのか？勝ち点は1点だったよな？」

「はい。ですが一次グループリーグで1試合引き分けても、決勝へ行ける可能性は残っています！」

「おお、そうなのか！」

決勝行ける可能性はあるが、アメリカとロシアの勝敗によっては行けなくなる可能性もある。あまりいい状況とは言えないのに、状況を説明した一星も、勝ち点を案じた剛陣も笑っていた。

「良い試合だった。私が期待した以上に、日本は大きく成長した」

クラリオの言葉にも嬉々とした感情が見える。

キャプテン同士の会話。どちらも清々しいまでの表情。

『(……なんで、ですか)』

＿＿＿教えてください。