無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ21)

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試合再開。

一星と詩音の告げたキーパーの弱点は同じだった。

アロンソはシュートを打つ者の目(・)を見てボールの軌道を予測した。一種の読心術だろう。

それが分かれば攻略は案外簡単かもしれない、と野坂は不敵に笑う。

ボールを持つアツヤ、稲森に並走してゴールに向かう三人。

「この試合の命運、僕が預からせてもらうよ」

「何か作戦があるの？」

「詩音さんのおかげでヒントが見つかりました！」

「それじゃあ始めようか」

「「［ザ・ジェネラル］！」」

一星が分析し、野坂が考えたルートが各選手に発信される。

アツヤから野坂へパスが渡り、ボールを持った稲森が［イナビカリ・ダッシュ］で相手を突破する。

そして、詩音にパスが通った。

「詩音！！」

『［不撓不屈(ふとうふくつ)］』

詩音の足元のボールには青い光が宿る。アロンソは詩音の目線を捉えようと目を細め、どこにボールが来るか予測が終わった所だった。

その直後、後ろから薄い赤色の髪が見えた。

「［必殺クマゴロシ・斬］！！」

そのシュートにアロンソは反応することが出来ず、ボールはゴールに突き刺さった。

詩音とアツヤの即席のオーバーライドが炸裂した瞬間、会場の歓声は絶頂だった。

『ありがとうございます、アツヤさん』

「ま、俺について来れたのは褒めてやるぜ」

どうして日本のFWはこうも自我が強いひとばかりなのだろうか。

そう疑問に思わずにはいられなかった詩音であった。