無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ17)

今日:41 hit、昨日:18 hit、合計:9,651 hit

〇ハーフタイムページ17

・

1-2で前半が終了した。

「詩音！お前、どこ行ってたんだよ」

『すみません、迷ってしまって』

このやり取りが行われるベンチではコーチが吹雪の足の怪我の処置をしていた。

「灰崎くんも後半は無理そうですね……」

「何言ってやがる、俺はまだ……」

子文が心配そうに視線を向ける先には肩で大きく息をしている灰崎。既に満身創痍ともいえる程に体力は消耗していた。

強がりなのか、反論を証明するために立とうとした彼だがふらついた。そんな灰崎を支えたのは吉良だった。

「おっと。神の肩を借りるとは、とんだ悪魔もいたもんだ」

「うるせぇ、離しやがれ」

「ほらよ」

言われた通りに吉良が手を離すと、灰崎は膝から崩れ落ちた。詩音は疑問をぶつけた。

『？1人で立てもしないのに、フィールドで走ることできるんですか？』

「なっ！」

「そうだ、詩音の言う通りだぜ？ろくに立てもしねえやつがフィールドにいたって邪魔なだけだ」

2人の言葉に言い淀む灰崎。

「みんな、ちょっといいかな」

野坂の収集がかけられて、後半の作戦を聞かせられる。詩音もなるほど、と頷く。

「なるほど……」

『理にかなった作戦ですね』

「ぶっつけ本番で上手くいくかな？」

そろそろ後半が始まる。

「では詩音さん」

『はい？』

「吹雪くんに変わって “FW” 、頼みましたよ？」

「「「！！」」」

『わかりました』

このFFIではじめてのポジションを任された詩音だが、いつものように変化のない表情で頷く。何も動じずに受け入れられるのも、彼女の1つの強さだなと改めて感じたイナズマジャパンである。