〇使徒 ページ15
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試合が再開する。
ボールは稲森がキープした。
スペインのディフェンダーであるバラハが突っかかってくる前に反射光が見えた詩音は咄嗟に席を立った。みんなが疑問をぶつけてくるが、詩音の耳には届いていない。
詩音が見つけたものに、フィールド内のクラリオも当然気づいた。
「お前、何を！？」
しかし、バラハは辛そうな表情をしながらも稲森を抜かせた。その進行先には撒菱がまかれていた。
このまま行ってしまえば稲森は今シーズンの試合には復帰できないような大怪我を負うことになってしまう。
「それ以上前に進むな！」
クラリオは忠告するがプレーに夢中な稲森は全く聞こえていないし、気づいてもいない。その瞬間、吹雪が［アイスグランド］を撃ち、稲森はその場で転倒する。
吹っ飛ばされたボールと共にコート外に放り出された撒菱を見て詩音は席に着いた。スペインチームに使徒が潜り込んでいるとは微塵も思っていなかったので、さすがに驚いた。
『(だけど……)』
なぜ、吹雪は気づいたのだろうか。あの様子だと、クラリオ以外の人は全く気づいていないように見えた。よく思い返してみれば少し前から緑髪の選手を気にしていたような……
「あれ、何があったんですか！？」
「うそ……」
詩音がフィールドに目を戻すとクラリオが放った超威力の［ダイヤモンド・レイ］がバラハの体に直撃した。
その真相に気づいていた詩音はそっと、心の中でクラリオに言った。
『(……その威力の技を人に使うのはどうなんですかね)』
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作者名：おまんじゅう | 作成日時：2023年12月12日 23時
