無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ14)

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〇キーパーページ14

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詩音はスペインの分析データと実際のデータを比べながら試合を見ていた。

圧倒的に分析データを上回る身体の動きで、さすがに驚かない訳にはいかなかった。

フィールドではアツヤのシュートがスペインゴールに向かっているところだった。その軌道の先にはゴールキーパー、アロンソ。

「［ザ・ボヨン］！」

『………わぁ』

「なんだ詩音、気の抜けた声出しやがって！止められちゃったんだぞ！？」

『剛陣さん、お元気ですね』

「あ！？」

「詩音さん、何か分かったりしたんですか？」

詩音の抜けた声と同時に相手にシュートを止められた。

剛陣の焦りにも似た声をサラリと受け流す詩音に神門が問う。おおよそのところ、あのキーパーの技についての解説だろう。

だが、詩音の感心は別の場所に向けられていた。

『あのキーパーさん、まるでそこにシュートが来ることが分かっているかのように、吹雪………アツヤさんのシュートコースに先回りしていました』

「なんで今一瞬名前躊躇ったの…」

吹雪さんと呼べば兄と被ってしまうことに呼んでから気づいたらしい。なんとも詩音らしい回答である。

シュートを真正面から受ければあのキーパーの技が最大限活かせる。それに役立つ何らかの技術も持っている。かなりの強者だ。

合宿初日のインパクトのおかげでクラリオのみに注目しがちだが、スペインの強みを担うのはクラリオ1人ではなかった。