無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ11)

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〇ベルナルド・ギリカナンページ11

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『…………どうしましょうか』

さてと、初めてのFFIの会場ということで別で用意してもらっている更衣室に案内してもらった詩音。しっかり行き方も教えてもらったはずなのに、何故かフィールドにたどり着けなかった。

途方に暮れていると後ろから誰かの気配がした。

「おや、イナズマジャパンのお姫様。こんな所でどうしたんだい？」

『？？お姫様？』

振り返るとフロイの面影のある人物が詩音を見下ろしていた。

誰だ、と聞くまでもない。幼い頃の記憶が微かに残っていた。

『ベルナルドさんですか、お久しぶりですね』

「！覚えているのか」

『？はい。朧気ではありますが』

フロイの事は全て覚えているのに、何故か兄である彼のことはすぐには思い出せなかった。不覚だ、失礼してしまったと1人脳内反省会をした。

しかし、なぜ彼がここに？と疑問に思う。本来ならオリオン財団は彼の父親の組織のはず。財団長？と思われる画面越しに面会したのはフロイたちの父親ではなかった。つまり、今の理事長はギリカナン家長男のベルナルドなはずだ。

フロイが「いろいろあった」と言っていたのはそれ関連なのだろうか。とりあえず、後継であるはずのベルナルドがなぜこんな所で油を売るような時間を過ごしているのだろう。

疑問が疑問を呼ぶ。

「ロシアにいた頃、フロイと君。それ以外誰と遊んでいたか覚えているかい？」

『？(私たち以外？)』

あまりにも身に覚えのない言葉に首を傾げる詩音。

そんな彼女を見るベルナルドは冷めた瞳をしていた。