無色の詩姫【イナオリ】第五章 (ページ2)

今日:45 hit、昨日:18 hit、合計:9,655 hit

〇おすすめページ2

・

カザニ観光終了後、スコーリオが予約してくれたというレストランにやってきたイナズマジャパン御一行。

「皆さん、お疲れ様でーした！」

2つの長机にはシワもない真っ白なクロスが敷かれ、その上には沢山の美味しそうなご馳走が並んでいた。

当然のようにみんなの顔が輝く。

「この先に皆さんを待ち受けているのは世界のトップを目指す厳しい戦いです。その前に今日は思い切り食べて力をつけましょう！かんぱーい！」

「「「かんぱーい！」」」

監督の言葉で食事が始まる。

「はい、詩音ちゃん」

『！ありがとうございます』

美味しそうに食を口に運ぶ詩音のお皿にサラダのような食べ物を盛り付ける野坂は楽しそうだ。

西蔭が困ったようにこっそりと詩音を盗み見るが彼女は意外にもほとんど皿の上の食べ物を完食していた。

「そういえば、詩音お前、ロシア来たことあんだよな？」

『？はい』

「じゃあ、どれがおすすめとかある？」

灰崎が思い出したように聞くと頷く詩音。明日人も身を乗り出して聞くので自然とみんなも詩音の言葉を待った。

光さんに聞けばいいのに、とは言いにくくなった空気で詩音はみんなが自分に聞いた意図(多分勘違い)を察して口を開いた。

『どれも体に良いものだと思います』

「「「…………え」」」

『全ておすすめしておきます』

「「「………」」」

『身体の栄養バランスは考えておくべきかと。お肉ばかりでは体の疲労までは取れませんし、サラダだけでは筋肉も付きづらくなるので、それぞれバランスのとれた量を摂取するべきだと思います』

「えっと……詩音？」

『はい？』

本人は特に表情に変化をつけることなく首を傾げる。これは本当にみんなが思っていることに気づけなさそうだ。

みんながため息をついている様子に詩音は気にすることなくサラダを口に運んだ。