第822話 ページ41
「成程……まったくひどい目にあったな、ハチ……。お前達が助けてくれたのか」
壮年の男と目が合い、Aは眉を顰めた。その次の瞬間。突如、衛兵たちが一瞬にして気を失ってしまったではないか。肌を刺すようなビリビリとした刺激を感じ、Aは身構も少し懐かしい感じがした。
「そう警戒しなさんな。大きくなったな、A」
男はAを見てニカッと笑う。その笑顔の明るさに拍子抜けする。
貴「は？……なんで私の名前知って…」
「その麦わら帽子は……精悍な男によく似合う……！会いたかったぞ、モンキー・Ｄ・ルフィ」
――そう言って笑う男の名はシルバーズ・レイリー。冥王の名を持つ、偉大な海賊だった。
レイリーはいとも簡単にケイミーの爆弾付き首輪を外してしまった。
誰を捕まえるつもりだったのか、最初から海軍が潜んでいたらしく既に会場は敵に囲まれているらしい。
鍵を見つけたフランキーによって救われた奴〇たちは隙を見て逃げ出すことにしたが、まさに指名手配真っ只中である麦わらの一味はそう簡単にはいかないだろう。ついでに、会場にいた超新星の海賊団たちも巻き添えを喰らっていた。
ボニーとロー大丈夫だといいんだが……
騒ぎの中でもずっと堂々椅子に腰をかけていたローは「おれ達は巻き込まれるどころか共犯者扱いだな……」と外から聞こえてくる放送に口角をあげる。
貴「あ、ローだ。お前いたのか」
ロー「あぁ、まぁな」
ユースタス・キャプテン・キッドも「麦わらのルフィの噂通りのイカレ具合を見れたんだ。文句はねェが……大将と今ぶつかるのはゴメンだ……！」と言いながらも余裕の笑みを浮かべていた。
キ「長引くだけ兵が増える。先に行かせて貰うぜ。もののついでだ、お前ら助けてやるよ！表の掃除はしといてやるから安心しな」
キッドのその言葉にルフィとローの顔が屈辱に歪む。
ズンズンとキッドの後を追うルフィを見て、Aは頭を抱えた。
全く、挑発に乗りやすい弟だこと……
先陣切って戦い始めた三人の船長に一旦敵を任せ、ナミたちはもしはぐれた場合の落ち合わせ場所を13番GRに決めた。ハチはレイリーが運んでくれるようだ。
敵も束の間であるが減って来た。逃げるなら今のうちだろう。しかしいつまでも二人と張り合って戦っているルフィを見かねて、A達は彼の元へと走った。
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作者名：覇月 | 作成日時：2020年8月16日 8時
