おはようを ページ10
ベッドが4つ並んだ、やけに医療器具の多い部屋……その中央に、戸の目の前の位置に目立つ人が寝ていた。
一目で見て分かる重症っぷりに、私は思わず絶句する。
体中包帯グルグル巻にされて、腕や体には何本ものチューブが繋がれ、点滴やら何やらに囲まれて寝ている煉獄さん。
ともすると…遊郭編の後の炭治郎より重症そうな彼に、よろよろと歩み寄る。
「……きょ、杏寿郎」
思わず口から出た呟きは、いざ死にかけの姿を見たせいか、掠れてしまっていた。
……これ、本当に3ヶ月も持った人の状態…?
確か骨も内蔵もやられてるハズなのに、流石の精神力と強さとしか思えない……
「………大丈夫、だよね…?」
もう死亡フラグを回避したんだし、流石にこれで死んだりすることはないハズ……ハズだって信じたい。
ベッドのすぐ横に立って、突っ立ったまま煉獄さんのことを見つめること……長く。
ハッと我に返ると、窓の外の影は少し動いていた。
「…………あれ?」
流石に見過ぎた、と思いながら顔を上げた私は……ふと、部屋の奥のベッドが盛り上がっているのを見た。
あれ、え?嘘でしょ、まさかもう1人いたの…??私ずっと独り言聞かれてた…?
ピシリと固まって、背を向けて寝ている誰かの姿を見…………
「…………………ヒュッ」
特徴的なその頭を見て、思わず息を呑んだ。
あれは、あの頭は………スケベ柱ことスケベ柱の、弟君では……!?
うっそー玄弥君いたの?会えちゃったよまさかの?
途端に嬉しくなって、そそくさと玄弥の方のベッドまで歩いて行き、そっと覗き込む。
……怪我とかは無さそうだけど、あれかな、診察の延長かな…?
寝ているようで、注意深く見てみると肩が僅かに上下している。
「おはようって言えるかなぁ」
ベッドの縁にちょこんと静かに腰を下ろして、むふふと笑いながら言うと、
「…っ」
ピクッと身じろぎした玄弥が、唇を尖らせて寝返りをうった。
…………?可愛い。
宇髄推しで生きていこうと思ったのに、玄弥の扉を開きそうになった。
不死川さんの弟、こんなに可愛かったかな…
そう思って、私は漫画やアニメのことを思い出そうと目を閉じて、過去を回想し始める。
「_____は…?」
___その途中で寝落ちしたことに、私は意識が落ちた後も全く気が付かなかった。
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朔咲(プロフ) - 全部見てみたい!!!!!続きのお話、楽しみにしています!!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 6cb6312e2e (このIDを非表示/違反報告)
あイカ - 宇隨さんの話が良いです!堕姫の出てくる話!(漢字違う気がします!すいません!) (2019年10月18日 1時) (レス) id: 11ab2ddcaf (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 遊郭編を読んでみたいです! (2019年10月11日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
まみま - しのぶさんとの関わりもっと見てみたいです…! (2019年10月11日 11時) (レス) id: baa6090d07 (このIDを非表示/違反報告)
ログインしていない系作者 - 設定から文章、会話、全て面白い作品で一気読みしました! ただ、蝶の数え方は頭ではありませんか? ページ4と5ですかね……匹になっていたような気がします。違っていたらすみません。 (2019年10月8日 22時) (レス) id: 87dbb62b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年9月25日 22時