ナビゲート ページ9
その後、3人は任務があるからと渋々……本当に渋々と部屋を出て行って、私はまた1人になった。
相変わらず蝶は私の側にいて、飛んでいく気配も消える気配も無い。
炭次郎達がいた時は、人懐っこく肩や頭に乗っていたし……これ、カナエさんなのかどうかも本当に分からないし。
「…何なんだろう、君」
触れてみるとふわっと貫通するし、振り払うと煙のように舞ってまた元の形に戻ってくる。
100%害は無いようだけど………というかもう1頭は、ずっとしのぶさんに付いたまま行っちゃったし。
部屋を出る時まで困惑した顔で、チラチラ私と蝶とを交互に見るしのぶさんは可愛かった……
じゃなくて、しのぶさんが可愛いのは当たり前……のは置いといて!
___今は正直、煉獄さんの様子が気になる。
生きていると分かっても、それがいつ死ぬか分からないなら、俄然不安だ。
……いやだってあの煉獄さんが、重症で寝ているっていう絵面は想像出来ないし、考えるだけでも辛い。
「……………」
………様子、見に行っちゃ駄目かな?
ベッドはいくつかあるものの、誰もいない部屋を見回して、私はふとそう思う。
試しにそっと起き上がってみても、目眩も違和感も無かった………完全に体は完治してる。
白い服越しに自分の体を確認して、閉じられた戸の方へ目を向けると、ベッドの柵に止まっていた蝶がふわりと飛んだ。
「…もしかして、案内してくれるの…?」
音もなく戸の方へ飛んでいく蝶に、少し嬉しくなって私も続いて歩き出す。
人工知能高いなぁ、この蝶……ナビゲートのプロかもしれない。
通りかかる誰かにバレないように、そっと戸を開けてから、廊下に顔を出して左右を見る……よし、誰もいない。
右の方へ出てった蝶を追って、私は初めて歩く蝶屋敷の中を暫く歩いて行った。
でも、誰もいないな……カナヲちゃんとか、あの3人組とか。隠の人も。
そのうちだんだんと忍び足を止めて普通に歩き始めながら、ずっと真っ直ぐに進み、
「…?え、ここ?」
1度も曲がることがないまま、蝶が1つの戸の前で止まった。
それから空中に留まって、触覚を戸の方に向ける蝶を見て、あっここなんだ…と思う。
中からは物音1つもしない。
………よし、誰もいないと信じて開けるぞ、いいか。
誰がいる訳でもないのに心の中で宣言してから、私は意を決して戸を引いた。
「_________」
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朔咲(プロフ) - 全部見てみたい!!!!!続きのお話、楽しみにしています!!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 6cb6312e2e (このIDを非表示/違反報告)
あイカ - 宇隨さんの話が良いです!堕姫の出てくる話!(漢字違う気がします!すいません!) (2019年10月18日 1時) (レス) id: 11ab2ddcaf (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 遊郭編を読んでみたいです! (2019年10月11日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
まみま - しのぶさんとの関わりもっと見てみたいです…! (2019年10月11日 11時) (レス) id: baa6090d07 (このIDを非表示/違反報告)
ログインしていない系作者 - 設定から文章、会話、全て面白い作品で一気読みしました! ただ、蝶の数え方は頭ではありませんか? ページ4と5ですかね……匹になっていたような気がします。違っていたらすみません。 (2019年10月8日 22時) (レス) id: 87dbb62b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年9月25日 22時