切符 ページ47
ガタンガタンと音を鳴らせながら、ついに汽車が走り出した。
……動き始めてすぐに、伊之助が興奮して窓から身を乗り出して叫んだり、鬼が出ると聞いた善逸が泣き叫び出したりした。
善逸に伊之助に煉獄さん、もしかしてこの列車、相当煩い…?
「……あ、車掌来た…」
そんなことを思いながらふと車内を見回すと、反対側から切符を切りながらこっちに向かってくる、死にそうな顔の車掌が見えた。
……もうすぐ夢が始まるのか。
「切符……拝見…致します…」
顔と同じく、死にそうな声でそう言った車掌に、煉獄さんを火切りにかまぼこ隊全員も切符を見せた。
最後に「切符を」と私の方を見た車掌に、どうするかどうか躊躇う。
切符を切られたら、私も夢を見るのか…?いや、鬼血術に鬼も人も関係ない…………もし見たとしても、自害すれば良い話だ…!
「……はい」
そっと切符を出すと、それを受け取った車掌が、目の前でパチンと切符を切って返した。
それを受け取って、いつ夢に入っても良いようにと身構える。
………どんな夢が来ようとも、大丈夫だ。覚悟を決めて何とか目を覚まそう。
と、目を瞑った途端に、目の前でドサリと何かが倒れる音がした。
「もう夢に…………ぇ…?」
目を開けて顔を上げると、そこには汽車の景色は跡形も無かった。
そこにあるのは、否、そこにいるのは_____
「___桜子?どうしたんだい、突然立ち上がって」
「………お、お館…様……?」
驚いた顔で私を見つめるのは、紛れもないお館様だった。
目の前に広がっているのは、静かさと日の光に照らされる、戸の開け放たれた屋敷だった。
「…!」
慌てて振り向くと、いつの間にか真横には柱達が膝を着いて座っている。
…………これは…………柱合会議か?
「どういう、ことなの……」
目を見開いて自分の体を見下ろしてみると、なんと鬼殺隊の隊服を着ていた。
濃い赤色の羽織の下には、鞘も柄も真っ黒な刀が差されている。
「…おい、どうしたんだ急に。何かあったのか?」
小声で話し掛けてきたのは、一番近い所に座っていた宇髄さんだ……………いや、心なしかなんか、顔が幼いような……?
「………まって、嘘でしょ………」
宇髄さんの顔を見て嫌な予感がして、他の柱達へ目を向け、1人ずつ見ていく。
その全員が、ついこの前見た全員より、どことなく若かった。
「____私が、柱だった時の……?」
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楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時