生憎と ページ22
「あの…ちょっといいですか?」
…と、話に口を挟んできたのは、善逸の隣でご飯を食べていた炭次郎だった。
「?何…?」
うそ、もしかして炭次郎も知り合いだったとかじゃないよね…と内心冷や汗を掻きながら首を傾げると、
「桜子さんは鬼だけど、凄く…人に見えますよね」
「…?人…?」
人に見える??それって、人を襲わないしご飯も食べてるから…?
「鬼としての本能より、理性が強いんだと思う…」
「そうじゃなくて、何だか……」
バッサリと容赦なく否定され、地味に「えっ」と傷付くが、炭次郎はそれには気付かない。
でも、確かに私って第三者から見たら凄い人っぽいかも……
「でも…っぽいって言われても、元は人だし、元の人格が残ってるだけじゃないかな…?」
知らないけど。分からないけども。
「鬼になっても人間寄りなのは、多分、人間だった頃の思い出とかが相当強いんだろうね」
一体どんなハートフルな人生だったら、無惨様の血を受けても人格が崩壊しなくなるのか。
自分の記憶にない頃の自分がちょっと恐ろしくなりながら、ボソッとそう言って……上を向く。
ここは縁側だけど、日の当たらない方だから私は燃えない。
多分そこまで出来た設定はないだろうから、私は日の光に当たれば死ぬだろう……
「善逸はさ…」
ふと、やっぱり炭次郎も善逸も、それどころか柱の人も、何か私について隠してるなぁと考えた。
何かありそうだけど、分からないし聞いたらヤバそうな気がするから聞かないけど。
「私のことを気に掛けるね。人間だった頃の知り合いって言うから、当然かもしれないけど」
「それは……だって桜子さんは、」
「でも、私は知らない。人だった頃の記憶は何一つ忘れてしまった」
突き放すように言うのは、かなり申し訳ないというか、心が痛む……けど、変に期待させたくない。
もしかしたら、人間に戻るかもとか、記憶を思い出してくれるとか………
「だから………初めましてにしようよ。これから、君のことを知りたい」
____結果、それを聞いた善逸が感極まってギャン泣きし、全員で泣き止ますハメになったりした。
あんたの中で私ってどんな存在だったのよ、と疑問がザックリと深くなったが、
まぁ善逸との距離が縮まったので良しとする。
ちなみにしのぶさんや甘露寺さんも、「仲良くしてね」と言ってきたので、困惑しながらも承知した。
炭次郎は、「俺も鬼の妹がいるので力になりたいです」と…
……何故…全面的に好意的なのか。
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楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時