鬼舞辻無惨を殴るまで【鬼滅の刃】

あんた誰よ ページ17

霞柱、時透無一郎…………のハズ、なのだが…


あんた誰よ、と思わず突っ込みかけそうになるくらい、知ってる容姿が違った。


突っ込まなかったのはその後の冷ややかな反応を恐れて、だ。心が折れる自信がある。


「髪、結んでる……」


あっ、言ってしまったアァァァ…！！！あんた誰よよりはマシだったけど、やっちまった…！


言った直後に両手に服を持って少し開いた口を開きっぱなしにしたまま、私は時透君の顔を見つめ………


「…結ぶと変？」

「えっ？いや…似合うと思うよ」


なんかカッコいい、と聞かれたまま思ったままを言う。


あ、いや…カッコいいは烏滸がましかったかな…！？


「それより……君、名前」


話を変えようと、首を傾げてそう呟けば、やや可愛らしい真顔のまま時透君が口を開く。




「……僕は時透無一郎。無一郎でいいよ、僕も桜子って呼ぶことにするから…」




それより着替えてよ…と、未だに私の手に握られたままの服を指差す時透君………及び無一郎。


本当に呼び捨てでいいのかな……あとそのポニーテール凄い可愛いしカッコいい。


無言で頷いた無一郎が、「じゃあ待ってる」と一声掛けて、スッと静かに襖を閉めた。




………あれ、なんか…ご飯食べること決定してるような気がするよ…？


と思ったものの、無一郎が外で立ったまま待っていると言うのだから、待たせる訳にはいかない……


「…着替えよ」


一旦服を畳の上に置いて、素早く病衣を脱ぐ。


今更だけど、この長袖長ズボンのボタン式の白い病衣……割と好みのデザインだけど、脱いだ後どうするんだろう。


誰かが回収に来るのか、それとも貰うのか……？


現代とはまた違った形の下着を見下ろしながら、ぼんやりと考え込む。


今までの柱の反応も気になる所が多いし、でも聞いたら何か駄目な気がするし……




「………」


____いつか、分かるのだろうか。


とりあえず今は、無一郎とご飯のことを考えて行こう。



小袖を着た後にスカートを履き、その間に帯を適当に結び付け………私は初めての和服の着替えを終わらせた。


靴下は……


もう一度開け放たれたタンスを見る。あ、よく見ればタンスの下に引き出しが……


不思議に思って開けてみると、そこには靴下らしい塊や腕や髪の装飾品らしい物が入っていた。


どれもこれも綺麗で気になるけど、今は靴下だけ………この黒いのを履いて行こう。




「…おまたせ、無一郎」


数分とせずに着替えて出て来た私を、無一郎はどこか___


一瞬、感慨を受けたような顔をして見た。

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