鬼舞辻無惨を殴るまで【鬼滅の刃】

鬼になってる ページ3

「………はっ！」


カッ！


…と効果音が付きそうなくらいの勢いで、目を開いて飛び上がる。


「さっき刺された！？」


最初に目覚めた時と変わらない深い森の中、ギョッとして自分の体を見下ろす………も、




「あ、あれ…？無傷だ………血も出てない…」




服に突き破られたような穴こそ開いていたが……


お腹にも背中にも、触れてみても怪我なんて無い。


訳が分からない、絶対無惨に刺されたと思ったのに……ん？


「………………むざん？」


いや、まってよ。そもそも刺されたことより無惨がいたよ…？？


無惨に刺されたよ、私………それって、つまり…




「……………………………うそ。トリップしてすぐ、殺されて鬼になったの…？」




だから怪我も治ってるの？？いや、それ以外考えられないよね。


「ぎゃあぁぁ鬼ーーー？！鬼殺隊ーー！誰か鬼殺隊連れてきて！？！」


一見なんの変わりもない………いや服はがっつり着物になってるけど、何の変わり様もない体なのに！


鬼じゃん！駄目じゃん！


いや、何が駄目なんだ……？あ、鬼殺隊の我らが押しと関われないことか……


私の可愛い可愛い善逸と宇髄さんと義勇さんと禰豆子ちゃんに会えないのか……会ったとしてもすぐ殺される！？




「そっ、そこにいるのは………人なの…？」

「ひぎゃあっ！！」

「うぎゃああぁぁあ！？！」




とか何とか絶望していた時、突然後ろから聞こえた声に死ぬ程ビビって振り向いた。


…と同時に声を出した相手側も相当驚いたようで、私に勝る程の大声を出す。


その声の大きさに驚いてビクッと肩を跳ねさせれば………なんとそこにいたのは、


「あ、あ…………鬼かな、ごめんね…？」

「え…！？鬼…！？！」

「えっと、名前、聞いてもいいかな…？」

「えっ！？あ、あ……我妻善逸です…！」


ガタガタと震え過ぎて、何メートルか離れているのにその震え様が見える私が、なんだか申し訳なくなる。


あぁいやごめんね…私の推し…………今すぐ死ぬか退くかするから………


あ、いっそ善逸君にやってもらおうか………うん、


何かこんな状況から生きていける気がしないし、推しに殺されるならまぁ………優しくしてほしいけど！


「…あの」


刀を構えるものの引き腰な善逸に声を掛ける………と、ふと善逸君の動きが止まった。




「_____え？あ、あんた………まさか……桜子、さん…？」




思いもしなかった反応が、返ってきた。

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