･ ページ40
「塩崎、渡辺さんと喧嘩でもしたの」
「え？」
翌日、キャンパス内でたまたま会った乾とお昼を共にしていたらそんなことを言われた。
「...どっから」
「こっち来る前にオフィス寄ったら渡辺さんに会ってそんな話してきた」
「っ航平、なんて言ってた」
「別に何も言ってなかったけど」
「なんも？」
「ちょっと空気悪いんだーくらい」
「...それだけ？」
うん、と言いながらカレーを口に運ぶ乾。
「...航平、そんな気にしてないのかな」
「忙しそうだし気にする余裕もないんじゃない」
「そんなことある？」
「さあ」
乾によるとやはり今日も今日とて航平は忙しそうにしていたらしく、あまり詳しい話はできていないとのこと。
このままモヤモヤしたままいるのも嫌だし、今日帰ったらちゃんと話そう。謝ろう。
そう考えてきつねうどんの汁を全部飲み干したら 血圧上がるよ、と乾が呟いた。
もちろん無視した。
.
「おかえり」
今日も疲れた顔をして帰ってきた航平が私の顔を見てめんどくさそうな顔をした。
航平ってもとからこういう顔してたのかもしれない、と考え始めるくらいには自然なめんどくさそうな顔だ。
「話あるんだけど」
「...うん」
珍しく真面目な顔をしている私を不思議に思ったのか、荷物を下ろしてベッドに腰かける私の隣に腰を下ろした。
「昨日はウザ絡みしてごめん」
「...こっちこそ、あんなこと言ってごめん」
「それはそう」
「おい」
「でも航平疲れてるから、それをなんとかしたいって思ってやったことだっていうのは理解してほしい」
「...わかってるよ」
航平はそう言ってバタリとベッドに倒れ込んだ。
「Aが帰ってから、大人気ないこと言ったなって反省してた」
「...そう」
「忙しくてAを構えてないのはごめんだけど、でも俺は俺で余裕ないからさ」
「うん」
「そうやって優しくしてくれるAに甘えてる自分もいるから、あんまり頼りすぎないようにしたくて」
優しい、んだろうか。ゲームやりたいのは本心だったわけだし。
まあ言わないでおくけど。
「ぶっちゃけ、航平に嫌われたかと思って」
「なんでよ」
「めんどくさくて」
「こんなことで嫌いになってたら付き合ってないじゃん」
「それはそうなんだけど」
「...バカ」
起き上がった彼は私をギューッと抱きしめた。
「俺のこと大好きだもんな」
「...そりゃ好きだよ」
「かーわいい」
「航平」
「なに」
「ごめんね」
「こっちこそごめん」
その言葉に顔を上げると、目の前の彼は夢の中と同じ顔をして優しく笑っていた。
ああ、やっぱり私は航平じゃないとダメなんだな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 586人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花鳥腐月(プロフ) - コメ失礼します🙇♀一作目から少し拝見したのですが、夢主ちゃんがkwmrさんを呼ぶとき名前＋さん呼びなの解釈一致すぎて震えました！！！！！陰ながら応援しております！頑張ってください💪 (2021年10月26日 18時) (
レス) @page13 id: ca02359df5 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - 山田嫁枠急募さん» 返信遅くなり申し訳ございません。説明欄にも記載している通り私の作品の夢主は全員固定の女の子です。そのため今のところtmrさんのお話を書く予定もありません。申し訳ございません。 (2021年8月18日 23時) (レス) id: cac5d3b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
山田嫁枠急募 - はじめまして。いつも楽しませていただいてます。リクエストなんですがtmrさんお願いしたいです。できたらよろしくお願いします。 (2021年8月8日 1時) (レス) id: 824bd81ecb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月12日 16時
