SS 祈願覿面 / wtnb ページ37
(2021年12月〜2022年1月)
.
「さむい」
「知ってる」
「帰りたい」
「少しくらい待てって」
航平がそう言って私の頭を撫でた。
もう日付も変わろうとしている時間帯、こんな寒いなか集まるんだから人間は不思議だ。
とかいう私も隣の渡辺家が神社に行くと聞いてノコノコと着いてきてしまったのだけれど。
「Aちゃん甘酒飲む？」
「母さん、甘やかさなくていいから」
「飲みます」
「待っててね」
「わーい」
ニコニコと笑った渡辺母が甘酒をもらいに駆けていった。
「お前さあ...」
「なに」
「甘酒くらい自分でとりにいきなよ」
「だって叔母さん持ってきてくれるし」
私のその言葉に はあ、とため息を吐いた航平は御籤を引きに行った弟たちに目をやりながら道の端に私を引っ張った。
地方の神社とはいえこの時間帯はやっぱり人は多いわけで、ぼーっとしていたらどこかに行ってしまう私を危惧しての行動だろう。
大人しく横に並んで叔母さんが戻ってくるのを待つ。
「Aは何お願いしたの」
「言うわけなくない？」
「むかつく」
「うおっ」
小突かれてよろけた私の腕を航平がグッと掴んだ。
「ごめんそんな強くやったつもりなかった」
「いいよ別に」
「見て大吉だった」
「俺 小吉ー」
御籤を引いていた弟たちが帰って航平に結果を報告しているのをぼんやりと眺める。こうやって実弟と一緒にいるときの航平、長男って感じするよなあ。QuizKnockには年上が多いからあまりそういう姿は見られないけど。
「Aちゃんはい甘酒〜」
叔母さんがニコニコと笑いながら甘酒の入った紙コップをこちらに手渡した。
「ありがとうございます」
貴重な温かさをちびちびと体内に摂取していると横から手が伸びてきて奪われた。
「あ」
「ちょっとちょうだい」
「やだ」
「タダなんだからいいでしょ」
そう言った航平は紙コップをクイッと煽り あんがと、とこちらに返した。
「あ、もう日付変わるって」
周りの人達が集まって手を空に掲げてカウントダウンを始めた。
私は甘酒を持っていない方の手をポケットに入れてそれを眺める。航平もノリノリだ。うける。
「ねえ航平」
「ん？」
腕を引っ張って唇を重ね合わせる。
───── ハッピーニューイヤー！
拍手とともに顔を離すと、見慣れすぎたキョトンとした顔。
「...俺がやりたかったそれ」
「じゃあ来年して」
「そうする」
ポケットに入れていた手を引っ張り出されて航平のコートのポケットに入れられた。
...今年も私のこと、離さないでね。
繋がれた手にそんな思いをこめて、ぎゅっと握り返した。
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花鳥腐月(プロフ) - コメ失礼します🙇♀一作目から少し拝見したのですが、夢主ちゃんがkwmrさんを呼ぶとき名前＋さん呼びなの解釈一致すぎて震えました！！！！！陰ながら応援しております！頑張ってください💪 (2021年10月26日 18時) (
レス) @page13 id: ca02359df5 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - 山田嫁枠急募さん» 返信遅くなり申し訳ございません。説明欄にも記載している通り私の作品の夢主は全員固定の女の子です。そのため今のところtmrさんのお話を書く予定もありません。申し訳ございません。 (2021年8月18日 23時) (レス) id: cac5d3b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
山田嫁枠急募 - はじめまして。いつも楽しませていただいてます。リクエストなんですがtmrさんお願いしたいです。できたらよろしくお願いします。 (2021年8月8日 1時) (レス) id: 824bd81ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あむ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月12日 16時
