･ ページ17
『駅前のマクドにいる』
長めの会議が終わってスマホを見たらそんな通知が届いていた。
急いで机の上の資料やデッサン画を軽く片付けて荷物を手に取る。
「お疲れ様でした」
お疲れ様、という返事に軽く会釈をしつつ事務所を出てエレベーターのボタンを押す。
駿貴くん、無事に終わったんだろうか。帰ったらたくさんお話を聞きたい。
自分の好きなことについて話してる時の駿貴くんは目がキラキラして声のトーンも上がって話す速度も速くなる。わかりやすくて素敵だな、と思う。
早く駿貴くんに会いたい。
はやる気持ちを抑えながらエレベーターに乗り込んでボタンを連打する。
『今から帰るよ』
『了解』
『急がなくていいからゆっくり来て』
ポンポンと続けて送られてきたその言葉に思わず手が止まる。
こういうときの正解の返事は、昔駿貴くんに教えてもらった。
『会いたいからなるべく早く行けるように頑張るね』
付き合い始めた頃と比べれば、少しは成長したんじゃないだろうか。
『何、可愛いじゃん』
返ってきたその答えを見て、マスクの下で隠れているのをいい事に ゆるりと口角が上がったのがわかった。
.
改札を出て階段を上ってマクドナルドに向かうと、お店の前で立ってスマホをいじる駿貴くんの姿が見えた。
「駿貴くん」
駆け足でそちらに向かい声をかければ、顔を上げた駿貴くんがスマホを仕舞って お疲れ、と笑った。
「駿貴くんこそお疲れ」
「晩飯どうする？」
「作る？」
「なら手伝うわ」
駿貴くんがスーパーの方に向かって歩いていくので慌ててその後ろを着いて歩いた。なるべく並ばないように。
.
ご飯を食べて洗い物をしていたら、ふと後ろに気配を感じた。駿貴くんしかありえないんだけど。
「駿貴くん、どうした...の」
後ろからギューッと抱きしめられた。駿貴くんの顎が頭の上に乗った気がしてピタリと動きを止める。
「...駿貴くん？」
「...」
抱きしめるというよりは抱きつくというか。
なんとなくいつもと雰囲気が違うから手を拭いて彼に向き合うようにすると ちゅ、と軽く唇が触れ合った。
「何かあった？」
「...や、別に」
そう言いながらも私の腰から腕を離そうとしないので、やっぱり何かあったんだと思う。発表がうまくいかなかったのだろうか。それとも別のことなんだろうか。
腕を伸ばしてそーっと頭を撫でる。
私がしてあげられるのはこれくらいしかないから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 586人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花鳥腐月(プロフ) - コメ失礼します🙇♀一作目から少し拝見したのですが、夢主ちゃんがkwmrさんを呼ぶとき名前＋さん呼びなの解釈一致すぎて震えました！！！！！陰ながら応援しております！頑張ってください💪 (2021年10月26日 18時) (
レス) @page13 id: ca02359df5 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - 山田嫁枠急募さん» 返信遅くなり申し訳ございません。説明欄にも記載している通り私の作品の夢主は全員固定の女の子です。そのため今のところtmrさんのお話を書く予定もありません。申し訳ございません。 (2021年8月18日 23時) (レス) id: cac5d3b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
山田嫁枠急募 - はじめまして。いつも楽しませていただいてます。リクエストなんですがtmrさんお願いしたいです。できたらよろしくお願いします。 (2021年8月8日 1時) (レス) id: 824bd81ecb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月12日 16時
