千年樹

第44話 ページ45

「山崎さん。それで、さっきの『契約』っていうのは一体……？」

山崎「昨日の夜、二人が部屋にやってきたんだよね。君の事を探しているけど、危険な人物に追われている。江戸にいるはずだから、見かけたら私の所まで連れて来てって言ってた。」

　Aちゃんを呼び出した後、彼女をどうするつもりなのか。そう尋ねると、サヤという女の子がこう言ったのだ。

山崎「Aちゃんがさ、今、万事屋の旦那と桂にストーカーされていて、旦那のいる店に連れて行かれて嫌な思いをしてるって。でも、俺はそんなはずはないって言ったんだ。」

　旦那はAちゃんの働いてた店の常連で、何かひどい目に遭わされているとかいう話を聞いたことがないからだ。その旨を話した所、「あなたは騙されている」と真っ向からそれを否定される。そして、Aちゃんを二人のもとまで連れてくるように、との契約をさせられたのだ。

「でも、どうやって……？」

山崎「なんか、向こうは不思議な術を使って来たんだ。」

「術？ 人を魅了する術の事ですか？」

山崎「うん。そんな感じ。術をかけられた後、俺は自分が自分じゃなくなるような感覚になって……。気がついたら、君に……」

　こう言った瞬間、「大変だあああ！」と叫びながら飛んできた小さな光が、俺のおでこに思いきり激突してきた。

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