千年樹

第１４話 ページ15

拙者の部屋。拙者ら四人は今、とある作戦を立てている。無論、Aに拙者らのことを見て欲しいがためだ。

河上｢似蔵殿は紅桜を持っている故、下手に外を出歩けば真選組に見つかる可能性も捨てきれぬ。｣

岡田｢何なら斬ってしまってもいいんだがねぇ。｣

ミオ｢そんなことしたら、あの子に余計嫌われるわよ？｣

サヤ｢そうそう。早まっちゃいけないわ。それに、あなたのその刀で彼女を傷つけてはいけないもの。｣

岡田｢じゃあ、どうすればいいんだい？｣

　まるで、幼い子どものようにむくれる似蔵殿。頬を膨らませ、もう知らぬと言うかのようにそっぽを向いてしまった。こうなった時の似蔵殿は、少々厄介でもある。

ミオ｢あの娘の大切にしている人間だけを消していったら？｣

　その言葉を聞いた似蔵殿は、ご機嫌を直したらしい。こちらを向いたその口元は、気味が悪いほどにゆるんでいる。

ミオ｢それなら、あの子を直接傷つけずにすむでしょ？｣

岡田｢ああ、それがいい。それがいい。｣

嬉しそうに笑い、何度も何度も｢それがいい｣と繰り返す似蔵殿。

河上｢ならば、お主がやってくれるな？｣

岡田｢もちろんさね。ぜひ俺にやらせてくれよ。｣

こうなれば、善は急げだ。

似蔵殿はそう言うと、早速紅桜の手入れを始めた。

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