君のせい-2

88."剛典" ページ38

剛典「いつも笑って。

直人さんに言えない事とか何かあったら頼っておいで。


俺はいつでも味方だから」



『うん･･･ありがとう。


剛典くんも、なんでも相談してね』



剛典「あ、もう友達だから"くん"付けなしな」

『わかった、努力する』




そうやって笑い合っていると電話の向こう側で誰かの声がする。


剛典「あ、ごめん、呼ばれたからそろそろ行くわ、

じゃあ、ちゃんと直人さんと話して決着つけて来いよ！」


『ありがと、剛典･･ほんとにありがとう！』



剛典「もしものときは慰めてやるよ！笑

だからがんばれ！」


『うん･･･

頑張る！』



そう返すと、
はいはーい、と最後は軽いノリで電話が切られた。






思ってもいなかった"友達"申請。

いろいろ戸惑うことはあるけどこれで良かったのかもしれない。

剛典には感謝しても足りない。

これからたくさん返してまたたくさん貰うことになるだろうけど･･･。




剛典と向き合ってみると凄くすっきりした。

きっとあのままの関係でいたほうがお互いダメになってた。



さっきまで声の聞こえていた携帯に向かって


ありがとう。


と呟いた。









優しさの余韻は短かった。

オーディション会場から拍手が聞こえると
この場を立ち去りたい気持ちになる。




深呼吸をして落ち着きを取り戻す。






最後の相手の名前を探して電話をかけると

見慣れた車が私を迎えにきてくれた。






直人「連絡くれてよかった･･乗って？」


『はい』






何事も無かったかのように直人さんが私に笑いかける。


そして車に乗り込むと静かに発進した。

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