64.渦 ページ14
それは突然だった。
先生から呼び出されから数日欠かさずに早速レッスンに来ていた私は、衝撃を受けた。
先生「いい？
落ち着いてもう一回、発声からね」
『っ･･･はい』
♪〜
ピアノと合わせて発声を行う。
先生「うん、大丈夫。
そしたら、曲を歌って」
『はい、』
一度深呼吸をし、全ての息を吐いた後大きく息を吸う。
〜っ
声が、出ない
言葉が出ない
曲ももちろん、歌詞も分かっているはずなのに
歌おうとすると急に声が出なくなってしまう。
『どうして･･･？』
昨日までなんとも無かった。
普通に歌えていたのに･･･。
先生「･･･今日はダメそうね。
もうやめましょう？
無理矢理しても意味は無いわ。
明日、もう一度やってみましょう」
『･･･はい』
先生の心配そうな笑顔を見ていると辛くなって、私はスタジオを後にした。
昨日までは歌えてた。
昨日と今日の違い･･･
それは、事務所で直人さんを見かけたこと。
あの日から全く会っていなくて、
久々に視界に入っただけで足が動かなくなった。
あの笑顔やあの声が私の中に入ってくると、
何も考えられなくなっていて
直人さんが見えなくなるまでその背中を見つめてしまっていた。
あのときのキスは私の中でそれだけ大きな存在だった。
"俺のことも意識して"
そう言ってくれた剛典くん･･。
きっと彼は本当に私のことを思ってくれていて。
その気持ちに私は甘えていて、
でもその甘えが本物の"好き"になってきている気がする。
直人さんを
"好きな人"
から
"チャンスをくれた恩人"
というポジションに変えられるかもしれない。
そう思っていたときに、見てしまった･･･。
会っていなくてよかった。
気持ちが止まらなくなるところだった。
そう思ったときに自分の気持ちに気付く。
私は最低だ･･。
初めは直人さんを利用して好きになって。
わからなくなって勝手に傷ついて。
次に優しくしてくれた剛典くんを利用して･･･
好きになりかけといて、まだ直人さんを思っているなんて･･･。
気持ち悪い気持ち悪い･･･
自分のどうしようもない感情に吐き気がする。
『どうしたら･･･っいいの･･･』
ダレカタスケテ。
この気持ちの渦の中から抜け出したい。
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結城(プロフ) - けいさん» けいさん、コメントありがとうございます！有難いお言葉までありがとうございます(*^^*)今後の予定はわかりませんが何かしら更新できるように頑張ります(^^) (2015年9月24日 17時) (
レス) id: 9bba7c65bc (このIDを非表示/違反報告)
けい(プロフ) - 完結ありがとうございます！ドキドキキュンキュンして、読んでいる間幸せでした♪ぜひぜひヒロインちゃんのデビューまでもみてみたいです！ナオトくんとのラブラブも。楽しみに待ってます(*^o^*) (2015年9月23日 21時) (レス) id: d22372d640 (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - おみりゅうさん» おみりゅうさん、コメントありがとうございます！作品大好きなんてすごく優しいです♪更新頑張ります(^^) (2015年6月4日 18時) (レス) id: 9bba7c65bc (このIDを非表示/違反報告)
おみりゅう - 私が、初コメントデスネーこの作品大好きなので凄く嬉しいです。更新頑張ってください＼(^o^)／応援してます。 (2015年6月4日 17時) (レス) id: 940685a467 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結城 | 作成日時：2015年6月4日 7時
