君のせい (ページ33)

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33.帰宅中ページ33

三代目さんとの挨拶も終えて
今日は帰りの早い直人さんと一緒に帰ることにした。

『直人さん、今日はありがとうございました。
皆さん凄く優しくて楽しかったです』

直人「うん、俺も安心したー。
臣たちにいじめられたらどうしようかと思って。笑

それに･･」

『それに？』

直人「岩ちゃんとも会えて良かったねぇ」

意地悪そうな顔をして笑う。

『なっ///
何言ってるんですかっ』

直人「えー、正直に言いなよ～。
岩ちゃんかわいいって言ってたし」

にやにやしながら運転する直人さん。

『からかわないでくださいよ、もう///』

直人「今更だけどさ、香奈って呼んで良い？」

突然、真顔で聞いてきた直人さん。

運転中だから真剣なのかも知れないけど、そんな表情にドキッとしてしまう。

『は、はい』

直人「ありがと！
みんなと呼び方が一緒なのが何か悔しいからさ～笑」

いつもの笑顔。

これわざとかな、こんな表情繰り返されたらこっちはどうしたらいいかわかんないよ･･･。

私が黙ってもやもやとしていると
話題を変えるようにして直人さんが話し始めた。

直人「ねぇさっきのHIROさんの話嘘でしょ?
誤魔化し方下手すぎだから。笑」

はい、バレテましたー。

直人「俺が、どうしたの？」

『あ、いや･･･』

さすがに言えないよ･･･
さっき思わずこぼれそうになったのは
"直人さんに恩返ししたい"っていう
いつもの気持ちじゃなかった。

"直人さんに聞いて欲しい"
それがどういう意味を持ってたのか、

自分の気持ちに気付いてしまっていた。

みんなに聞いてもらった花火。

言葉なんか要らない見つめてください
こんなに溢れてるあなた

これが私の本心になっていた。

私はまだ何もできていないのにそんな気持ち伝えられない。
しっかりと自分のチャンスを掴むことが第一のはずなのに･･･。

考えているうちにまだ見慣れない地下駐車場に入った。

直人「はい、とうちゃーく。
言いたくなかったら、言わなくてもいいから

さ、帰ろ」

直人さんは普通に言ってくれたのに
なぜか心が痛い。

聞いて欲しいけど、言えない。
言えないから察して欲しいけど、それは無理で･･

そのまま勘違いされちゃいそうで怖い。

『わがままですみません･･･』

直人「？何もわがまま言ってないじゃん。笑
気にしないの～」