君のせい (ページ32)

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32.花火ページ32

隆二「香奈ちゃん、って呼んでいいかな？」

『はい、呼び方はおまかせします』

こんな人たちに名前を呼んでもらえるなんて感激･･･
今夜はいい夢が見れそうです。

隆二「今歌って欲しいって言ったら、歌ってもらえる？」

いきなりの質問に忘れていた緊張が戻ってくる。
プロの前で歌えるなんて普通ならありえない。

少しでもいい歌を歌いたい。

『はい、』

一気に空気が冷たく感じる。
自分の体温が上がった証拠。

広臣「何歌う？何でもいいけど」

『じゃぁ三代目さんの"花火"いいですか？』

広臣「どうぞ。好きなところまで歌ってくれていいよ。
俺たちは終わるまで何も言わない」

『はい』

なんだか、たくさんの気持ちがこみ上げてくる。
自分で宣言しておきながらご本人の前で曲を歌うって凄く緊張する。

歌詞が飛びそうになるのを堪えて大きく深呼吸をして歌いだす。

♪～パッと咲いてシュンと散って
夜に打ち上げられた恋花火二人照らしながら広がる

剛典「え･･･」

健二郎「この声、やばいな･･･」

♪～言葉なんか要らない見つめてください
こんなに溢れてるあなた･･･好きです

自分の頬を流れる涙。
気持ちがこみ上げて涙が流れていた。

その気持ちはどこから来るものなのか･･･

♪私の胸熱く染めました

『～♪

ありがとうございましたっ！』

頭を下げて終わる。
恥ずかしくて皆さんの顔を見られない。

さっと涙を拭いて顔をあげる。

ELLY「ありえない････」

直己「上手すぎるね」

剛典「香奈ちゃんすごいじゃん！
HIROさんなんですぐに採用しなかったんだろう?
そこら辺にいる歌手より断然上手いよ」

びっくりした･･･
元々人には褒められることはあったけどHIROさんに保留って言われてから少し自信を無くしてて･･

本当にこんなに褒められるなんて･･･

『嬉しい･･･』

自然とこぼれた一言。

直人さんを見ると、凄く優しい目で微笑んでくれていた。

隆二「想像以上だなー･･」

広臣「これ、俺ら教えることあるか？笑」

『そんなっ！教えてください。
たくさん勉強して、練習して、直人さんに･･･！』

つい、直人さんの名前が出る。

直人「ん？俺？」

『あ、いや･･･なんでもないので気にしないでください！
直人さんじゃなくて、
HIROさんに認めてもらいたいんですって言おうと思ってたんですっ！』

必死に誤魔化して私は逃げた。