君のせい (ページ24)

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24.家賃ゼロページ24

数分後、目の前に見慣れない車が止まる。

直人「香奈ちゃん、お待たせ」

キラキラ童顔スマイルが現れた。

直人「乗って？」

そう言って内側から助手席のドアを開けてくれた。

車内は甘いにおいでクラクラした。
それは芳香剤なのか、直人さんの香水なのか分からない。
狭い空間に2人きり。
それだけで余裕がなくなったのかもしれない。
でも、不思議と落ち着く空間だった。

直人「何か雰囲気変わったね、髪黒くした？」

『はい、そうなんです。心機一転、きちんとした気持ちで練習したくて』

直人「そうなんだ～、いいね。似合ってる」

『あ、ありがとうございます･･･///』

気付いてくれた。
しかも似合ってるって･･･！幸せです。

今日のお店は直人さんが決めてくれたところで
個室もあるおしゃれな和食屋さん。

直人「ここはゆっくりしたいときにくるんだ。
ご飯も体に優しいし、心なしか、気持ちも落ち着いて食べれるんだよね～」

『そうなんですか～凄く素敵ですね』

直人「それで、相談って？」

『はい、あの私仕事やめたんです。
それで貯金でやっていくつもりだったんですけど今の家賃が厳しくて･･･』

直人「え、辞めたの？？！休職じゃなく、退職？」

『はい、私本気になるって決めたんです。
せっかくのチャンスで後悔しないようにこの3ヶ月頑張ろうって決めたんです』

直人さんの目を見て、決意を伝える。

直人「･･･良かった」

『え？』

直人「良かった。あの日、香奈ちゃんに道聞いて良かった」

そう言って微笑む直人さんは凄く優しかった。

ドクン･･･ドクン･･･

私今、凄く、顔赤い。
好きになっちゃいけないのに、

こんな笑顔で微笑まれたら自惚れちゃうよ。

『な、直人さん･･･？』

さっきの一言の意味を知りたくて、赤くなった顔を誤魔化したくて、
名前を呼ぶ。

直人「あ、ごめん、ごめん。笑
気にしないで。

それで家賃が厳しくなっちゃったかぁ･･･葉月ちゃんは？」

笑いながら誤魔化された。

『はっちゃんは･･･お断りされまして･･･事務所とかに住めたり、寮があったりしないんでしょうか？』

直人さんはうーん。と困り顔。

直人「あ」

『どこかありますか？！』

直人「俺んち来る？」