君のせい (ページ20)

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20.直人side ページ20

"努力しない人間はチャンスを掴めないんだよ。
楽譜とか、楽器とか君の努力次第でしょ？
今まで努力しなかった分は他の人に差を付けられてる。
それに追いつくかどうかはこれからの君次第だよ。"

自分で言ってて、クサすぎ。

恥ずかしいって思ってたのに、彼女は笑った。
気持ちを押し殺すように。

我慢してた。

諦めてた。

何かを。

『俺のこと、利用しなよ』

そんなことをポツリ口走ってた。
自分のことのように一生懸命説得する。

諦めて欲しくなかった。

HIROさんに無理言って、事務所に連れて行った。

思いの外、厳しい結果となったけど、とりあえず前進したんじゃないかと思う。

しかも、

『なにやってんの！やったじゃん、香奈っ！』

思わず呼び捨て･･･俺どれだけ自分を見失ってるんだろう。
6歳も下の子に夢中になってる？笑

無理無理無理無理･･･キモい。
俺はロリコンじゃない。笑

ついこの間出会ったばかりの子にどうしてこんなに入れ込んでんだろ･･･

俺らしくない。

そんな彼女が、
打ち合わせの後にメンバーの話題になる。

広臣「直人さん、さっきの新しい彼女さんですか？」

『はぁ？違うって。笑
この間話した、道案内のコ』

広臣「え･･･イメージと全然違うんすけど」

剛典「そうなんですか？どんな感じでした？」

広臣「すっげー地味。よくいるパターン」

『臣、言いすぎだろ。笑』

確かに、間違ってない。
でも何でか気になる。あーもやもやする！

隆二「えーずりぃ。俺も見たかったー」

『んじゃ今度連れてくる。3ヶ月くらいここ出入りするから』

健二郎「え！何で？その子一般人やないん？」

さっきまでの事を説明する。

隆二「そしたらその子、かなり上手いって事ですよね」

『うん、でも』

ELLY「でも？」

『なーんか迷いがある気がすんだよねー』

直己「そんなに気にかけて…
直人さん、重症じゃないですか･･･」

『そうなんだよ、俺も思う。笑

でも、なんかしてあげたくなる。妹みたいな感じかな？笑』

"妹"

そういって自分のもやもやを片付けた。

メンバーと盛り上がって自宅に戻った頃
知らない番号から着信。

『香奈ちゃんだ』

自然と笑みがこぼれる自分に戸惑う。

『･･？
何でこんなに喜んでんだよ･･･』

俺らしくない。

なんだか気持ちが落ち着かない。

『はぁ･･･寝よ』

落ち着かなかったはずなのに
何かに安心したのか、今日は凄くよく眠れた。