君のせい (ページ16)

今日:22 hit、昨日:6 hit、合計:124,700 hit

16.チャンスを掴むチャンスページ16

エレベーターに乗りこんで
いくつもの部屋の前を通ると、一つの部屋の前で足を止めた直人さん。

直人「この向こうにチャンスがある。大丈夫？緊張してない？」

『･･･(緊張で聞こえない)』

やばいやばいやばい
私なんでこんなことにいるの。
場違いなとこにいるんじゃない？
ドアを開けたら帰れって言われるんじゃ･･･

心臓煩い、何も聞こえない。

急に直人さんのにおいに包まれる。

直人「大丈夫、とりあえず落ち着こう？
隣にいるだけで何も出来ないけど、俺がいるから」

『･･･直人さん』

抱きしめられていた。どきどきする。
でもなぜか落ち着きを取り戻したのが分かった。

直人「大丈夫？緊張してる？」

『すっごくしてます･･･でも、が、頑張ります』

直人「よし、じゃあ行こう」

直人さんがドアをノックする。
「はい」と声があってその手がドアを開ける。

直人「HIROさん、突然お時間頂いてすみません。
さっき電話で話した、山野香奈さんです」

『は、初めまして、山野香奈です』

HIRO「初めまして。HIROです。話は直人から聞いてます。
とりあえず、今歌える？何でもいいから」

『今、ですか･･何を･･･』

直人「香奈ちゃん、さっきの2曲目歌って」

2曲目･･直人さんからリクエストされて歌った、浜崎あゆみのBALLAD。
叶わない恋の相手を想って歌う切ない曲。

『は、浜崎あゆみさんのBALLAD歌います』

♪～

HIRO「･･･」

強い眼差しから目がそらせない。

♪～

(歌い終わり)

『ありがとうございました』

1曲丸々歌ってよかったのかな･･
HIROさんの変わらずの真剣な表情に更に緊張する。

HIRO「もう1曲歌える？」

『は、はい･･･っ！
じゃぁあの、三代目JSBの冬物語歌いますっ!!!』

♪～

自分の全てを出し切れた気がした。

『ありがとうございました』

深く、深く頭を下げる。