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【ねぇほんとやめて笑】【えー、だって笑】



高校生くらいか、私と同じくらいの女性の声。






あの子たちは私と同じ思いしたことあるのかな、

なんて勝手に考えて涙が込み上げてくる。








だめだ、落ち着こう、









目を瞑って思い浮かべるのは日本のこと。


帰りたい。

でも帰りたくない。





こんな思いをするなんて想像してなかった。

こんなはずじゃなかった。






ただやり直したい。






お母さんとお父さん、それから友達のことを考えて少し幸せになる。





ただ電車に揺られるこの瞬間が、心地よかった。



このまま時間が止まればいいのにとさえ思った。











* * *











「...の、あの」




『え?!』







寝てしまっていた。




話しかけてくれたのは背が高いマスクをした男性。

顔は見えないが、声質から多分私と同じくらいの歳だろう






「もうすぐ終電ですけど、大丈夫ですか...?」




『あ、すみません..。ここ、どこですか..?』



思わず地名を聞いたけど言われてわかるはずもなく。



「---です。」






『..えどこ。』


一瞬驚いた顔をされたけど、




「---がここで、---なんですけど..」





『すみません、わからないです...。』




地図を見せながら説明してくれる。



なんにもわからず少し申し訳ない気持ちがした。





はぁ、これからどうしよう。







どこにいけばいいのかさえも自分自身でわからない。









「僕ここからでも帰れるのでとりあえず降りましょうか。

行きすぎてしまったみたいなのにまだ行っても意味ないですからね。」




思ってもいなかった提案に驚く。




『そんな、悪いです..。』



「でも、帰れないのは貴方も困りますし...。僕だって気が悪いです」


ね?と、顔を覗きこんでくる


それに対し私は


『帰りたく、ないんです...。』




なんて。

気を使ってくれているのに、家でのことを思い出して思わずそう答えてしまった。



泣きそうになってしまうのを我慢する。






「...こんな時間ですしなにか食べに行きましょうか。あ、もう着きますよ。」




なにがあったのか聞かれるとおもったのに。

いい人なのかな、なんてなにも知らないのに思ってしまう。



電車にキーブレーキがかかって、速度が遅くなった。





どうやら今の助け綱はこの人しかいないらしい。

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作者名: | 作成日時:2021年8月4日 23時

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