【佐久早聖臣】この病の名前は恋ではない

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A「…そういえば、佐久早くんは結局、何故小鳥遊さんダメなんですか？あんなに可愛くて、同じバレー部で気が合いそうなのに」

佐久早「言っただろ、そもそも生理的にムリだって…」

A「でも、私みたいに日頃から手を洗って衛生面に理解があれば大丈夫な訳じゃないですか。…実際、それで私が選ばれたわけですし？」

佐久早「………まあ、」





何故かその肯定に、胸のあたりが揺らいだ気がした。



…ああ、やっぱり。





A「………小鳥遊さんなら、言えば恐らく…なんでも佐久早くんに合わせてくれそうですけどね」

佐久早「………何が言いたいの」

A「…、…小鳥遊さんが本気で好きなら、佐久早くんに合わせる努力してもらったほうが良かったのでは？」

佐久早「…は？」





＿＿＿なんで気づいてしまったんだろう。





A「それなら私に彼女役なんか頼まず、はじめからちゃんと好きでいてくれる小鳥遊さんを彼女にした方が…お互い良いですし…、」





…今思えばそうだ。



正直言ってしまえば、手洗いをこまめにするくらい誰だってできる。

彼が本気で好きで近づきたいのであれば、それくらい皆喜んでやるだろう。



それでいて彼も正式な彼女ができて、他の女子も近寄ってこない。

…それで両想いになれば、万々歳だ。





A「それで本物の恋人同士になれるなら理想的じゃありませんか？」

佐久早「………」





…そしたら、偽物の彼女(わたし)なんか必要ないわけで。





佐久早「………別にいいよ、今更そんなこと」

A「…今だから言うんですよ、私は偽物なんですから……、…今なら取り返しがつきます」

佐久早「は…？急に何言い出すの…」





彼は目を見開いて正気を疑うかのように私を見た。

…そんな君に、私は笑って誤魔化した。



だって佐久早くんは…





A「今ならまだ、小鳥遊さん諦めてませんし…」





万が一、偽物に好かれでもしたら＿＿＿…





A「彼女にしたらどうですか？」





きっと、困るでしょう…？









＿＿＿…ああ、わかったよ、私が変だったのは…





『恋に落ちることができないから』だ。





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