【佐久早聖臣】この病の名前は恋ではない

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古森「佐久早、白音となんかあった？」

佐久早「…、別に何も」

古森「そう？の割には、しおらしい態度してたじゃん」





ふとした古森の指摘に、思わず眉を寄せて横目でじろりと睨む。



…ああ、こいつに余計なこと言わなきゃ良かった。





古森「お、当たり？」

佐久早「…汗かいてたらそりゃ嗅がれたくなんかないでしょ」

古森「ボディタオルで拭いてたじゃん」

佐久早「あーもう…お前ほんと嫌い」

古森「えー」





まるで退路を塞ぐかのように言われてしまい、質問攻めになる前に会話をシャットアウトする。

そんな俺に構わず、古森は続ける。





古森「まーまー、俺はいいと思うけどね」

佐久早「…何を根拠にいってんの」

古森「いや、特にないけど…別にダメな理由なくね？」

佐久早「………」





不思議そうに言いながら、栄養調整食品を頬張る古森。

ダメな理由、と言われ記憶の中を振り返る。





佐久早「…いや、全部ダメだと思う」

古森「ぶふっ！」

佐久早「汚いっ！！」

古森「ごほっ…はは、ごめん…！だって…」

佐久早「…もうバス席で隣座んないで」

古森「悪かったって…ぷ、ははは！」





俺の汚物を見るような目に対し、古森は笑いながら吹き出した所をテッシュで拭いていく。

…仕方がないので、アルコールのウェットティッシュを1枚出して渡すと「さんきゅー！」と笑顔を返される。





佐久早「…いつまで笑ってんの」

古森「いやーだって、佐久早ネガティブすぎるでしょ！ベストオブネガティブだよ！」

佐久早「………」





…いつもなら「慎重なだけ」と返せるのだが、こればっかりは言い返せない。

なんなら根拠もないのに、そんなことを言える目の前のコイツが恨めしく思うほど。





古森「まーでもまだ時間もあるし、ゆっくりいこうぜ」

佐久早「………」





ふと脳裏を過るのは彼女の姿。



…ただそれだけなのに、胸の痛みが起こるのは何かの病気かもしれない。



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