【佐久早聖臣】この病の名前は恋ではない

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佐久早『妙な音だった』





と、感想は一言。



普通の人なら「綺麗な音」とか、そんなことを言うのに…





A『素直な感想ですね』

佐久早『褒めたほうが良かった？』





そんな画面に思わずクスリ、と笑いが出てしまう。





A『いいえ、その言葉で十分満足です』

佐久早『そ』

A『私も佐久早くんのみてました、随分と癖のある、いやらしいプレイをするんですね』

佐久早『テクニックがあるって言いなよ』





お互いの感想を直球でぶつけ合う試合後のやりとり。

試合は去年優勝していたようで、心配することなくストレート勝ちしていた。





A『まあでも、見れてよかったです。少し気になってたので』

佐久早『そう』





立て続けの素っ気ない返しに、すっかり慣れてしまった私。

『お疲れ様です』とだけ送ると、私はグラスハープの片付けへ。

井闥山はシード枠らしいので、初日の今日は1戦しかないのだとか。





音花「Aおつかれ！ごめんね、まさか1日目1戦しかないとは…それ運ぶの大変なのに…」

A「ううん、引き受けたの私ですし。久々にこれでみんなと合奏できてよかったです」

音花「それならいいけど…あ、もしかして彼氏にも見せたかったとか？」

A「…まぁ、」

音花「ほぉ〜？妬けるねぇ…」





あながち間違ってはいないので肯定しておくと、音花はニヤニヤとこちらを見つめる。

…生憎、その期待に応えられる関係などではないのだけれど。



その代わり、と言わんばかりにそれに応えたのは私のスマホの画面。





佐久早『俺も見れてよかった、おつかれ』





その遅れてきた画面の文字を見て、さらに心を踊らせる音花。





＿＿＿もし、私達が普通に出会っていれば、案外仲良くなっていたのかもしれない。



なんて、ありもしないことは捨て去って。




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