【佐久早聖臣】この病の名前は恋ではない

番外編 まだ知らぬ病　4 ページ43

俺の嫌いな時間がきた…それも1番汚いとされる場所。



教室掃除。





男子「1日ごとでローテな。俺自在ぼうきー」

女子「椅子と机移動かー」

女子「私、ほうきとちりとり」

女子「黒板と机拭きですねー」

佐久早「…椅子と机移動かよ…」





最悪…、誰が触ったかもわからない奴の菌がついた机や椅子を触るとか、1番嫌なんだけど…



そんな俺を置いて、各自担当へ回る班の奴等。

もう1人の女子はお構いなしに椅子をひょいひょいと机の上にあげていく、信じられない。



………嫌々、やるしかしかないと思ったその時。





女子「あっ、すいません…誰か黒板代わってくれません…？ギリギリ上まで届かないです」





黒板消し担当の女子が言った。

…原因はみてわかる通り、身長がそこまでないからだった。



しかし、今の俺にはちょうど良かった。

ちょうど近かったのもあり、もうひとつの黒板消しをティッシュを挟んで手に取る。





佐久早「…俺がやる」

女子「ありがとうございます、じゃあ…椅子と移動やりますね」





彼女は礼を言うと、もうひとつの黒板消しを置いて椅子を上げて机を移動していた。

…交代したとはいえ、あいつもよく菌だらけの人の机なんか触れるな…と背を向けると、バサバサァ…と何かが散らばる音が。



再びそちらを見ると、彼女の足元に教材が散らばっていた。

…恐らく誰かが置き勉していたのが、机の中からこぼれ落ちたのだろう。



埃まみれの床に落ちたそれを、埃を払いながら拾い集めるのを見て…





俺は思わず顔を歪めてしまった。





やはり女子と言えど、汚いことに関心がないやつばっかりだな…なんて改めて思ってしまった。



…あとで俺の机とか拭き直そう、と思いながらそうじが終わる。

手を洗おうと教室を出たら、何故か先程の黒板消しの女子がついてくる。





佐久早「…なんでついてくんの？」

女子「え…？手を洗いにいくだけですけど…」

佐久早「…、…あっそ」





不思議な顔をしてそう返され、思わず恥ずかしくなって目をそらした。



ただの俺の勘違いかよ…





＿＿あ、でも





佐久早「…あんた、ちゃんと手洗うんだな」

女子「…そりゃあ掃除したあとですし、埃とか触っちゃいましたから…」

佐久早「…ふーん」

女子「…では、」





少しだけ、意外に思ったが…



まあ、当然といえば当然か。





明日こそは椅子と机だろうな…と思ったが…、





また代わってもらえばいいか。



＊

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