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あの体育祭から、におーくんは本格的にテニス部へと戻ったらしかった。
何度か彼がラケットバッグを背負って歩く後ろ姿を見かけた。
声をかけようかと思ったけれどやめた。
もう彼に私は必要ないだろうし、私もこれ以上他人に誤解されるのは嫌だった。
｢おや、お久しぶりですね｣
屋上に行けばにおーくんに会ってしまうかもしれない、そう思って今日は何となく図書室にいた。
｢あ、柳生くん｣
昼休みの図書室は息遣いさえ聞こえるほど静かで。
私と柳生くんが立ち話をしても咎める人間なんていなかった。
｢今日は屋上ではないんですね｣
｢あー、うん。でもなんで柳生くん、いつも私が屋上にいるなんて知ってるの？｣
｢以前仁王君からお伺いしましたので｣
｢へえ、仲良いんだね｣
柳生くんとはあの花火大会の日1度会っただけだったけれど、彼とにおーくんが仲良しなのは何となく察せられた。
｢柳生くんは良く図書室に居るの？｣
｢そうですね…、読みたい小説がありますので｣
｢読書の邪魔してごめんね｣
｢とんでもありません。寧ろ声をかけたのは私の方からなので｣
そう言って微笑む彼はどこからどう見たって正真正銘本物の紳士だった。
これ以上柳生くんの邪魔をするのは良くないな。
そう思った私は図書室を出ようかと思った。
｢あの、｣
後ろから遠慮がちな柳生くんの声が追いかけてくる。
｢はい？｣
｢仁王くんと…その、何かあったのですか？｣
｢何か、とは｣
｢最近仁王くんから避けられている様な気がするとお聞きしたもので｣
｢うーん、避けてるのかな…どうなんだろ｣
柳生くんは何も言わず、ただ私の先の言葉を待っているみたいだった。
｢今のにおーくんに私は必要無いかと思って｣
｢何故そう思うのですか？｣
私に質問する柳生くんの眼光が鋭くなったような気がしたけれど、眼鏡に隠れてその表情は細部まで読み取れなかった。
｢彼にはもう私じゃなくて、柳生くん達がいるでしょう｣
それに、におーくんと付き合ってるって変に絡まれたりするのももう疲れちゃったし。
そう言えば柳生くんは
｢それは…申し訳ありません｣
と、悲しい顔をして謝った。
｢けれど、Aさんが仁王くんの事を嫌っていないのであれば、また仁王くんと仲良くして頂けないでしょうか｣
｢え？｣
｢彼には…貴女が必要なんです｣
そう言って翳を落とす柳生くんの横顔はにおーくんに良く似ていた。
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吹雪彩香 - 初めまして作品見ました。続きの更新頑張ってください^ - ^ (2020年3月16日 9時) (
レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - スタルさん» コメントありがとうございます。気に入って頂けて良かったです！更新は気長にお待ちください〜！ (2020年3月13日 21時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
スタル(プロフ) - はじめまして！今日初めてこの作品を見つけました。一話一話の内容が濃くて、とても面白くて、どストライクな小説です。更新楽しみにしてます！ (2020年3月13日 2時) (レス) id: 9151c972bb (このIDを非表示/違反報告)
凛樹(プロフ) - ユイさん» 初めまして！コメントありがとうございます。2人は救われるのか、じゃあ救われる結末って一体何なのか、って考えながら読んで下さると嬉しいです。更新頑張ります！ (2020年2月25日 1時) (レス) id: 1df7087ebd (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに読ませていただいてます。ふわりとした停滞した雰囲気の中着実に進んでいるような感じがとても素敵です。……これは聞いていいのでしょうか。2人は救われるんですかね？更新がんばってください。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年2月24日 23時) (レス) id: bc4674a53d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛樹 | 作成日時：2019年10月15日 2時
