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少年は数秒俺を睨むと、俯き首を振った。その口から零れ落ちた言葉は、何処か苦しそうに思えた。
「…それも、教えられない」
「うん、そう言うと思ってた。でも、俺はそれがわかるまであんたが何と言おうと纏わり付く」
「……普通人が嫌がったら離れてくだろ。
何お前、馬鹿なの?常識知らずなの?……意味わかんねぇ」
俺も内心では全く同じ事を考えていた。
相手が嫌だと言っているのに、纏わり付くとか、我ながら気持ち悪い。でも、やっぱりこの少年は本気で嫌がってるようには見えない。苦しんでるようにしか…。
…それも、ただのお節介なんだけど。
流石に次に断られたら諦めようと思って口を開いたら、それに重ねたようなタイミングで少年が言葉を発した。
「……で、何。お前は俺とパーティを組みたい訳?」
「……え」
「何、組まないの?」
「い、いや組む!組みます組みます!!
…てか、いいの?」
「……何も得する事は無いし…。――後で後悔するのは、お前だからな」
“後悔”
その言葉を聞いても頷いた自分に、内心で凄く驚いた。
それは、今までずっと俺をがんじがらめにして苛み、俺が先程まで危惧していたものなのに。
“後悔しない”という根拠の無い自信が自分の中にあったのか、それはわからなかった。
考えてもわからないものはわからない。普段からは考えられない自分の行動が幸を生むのか不幸を生むのかは見当も付かなかったが、自分の本能を信じてみる事にした。
HPを2/3程回復させた少年は、背中の鞘に剣を納めてから、改めて俺を見た。
「…名前何、お前」
「そのお前っての、あんま気分よくないなぁ。
……、通りすがりのソロこと、キリトだ。よろしく」
「お前のあんたってのも気分はよくねぇよ。
…――俺は、コウリだ。
満足したら離れてけよ」
「満足したらな」
……でもやっぱり、俺と少年…コウリがパーティを組むってのは、どうにもおかしい事に思えた。
何せ、会ってから30分も経ってないうえに、あまり馬が合うとは言えなかったから。
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羽毛 - 面白かったです。続き期待して待ってます。 (2013年11月19日 14時) (レス) id: 58739b6e62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ワタリ鳥 | 作成日時:2012年12月18日 1時