たとえ今日という日を忘れても ―ソードアート・オンライン― (ページ13)

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「……遅い」

アルゲード転移門、9時32分。俺、キリトはメニューウィンドウのアイテム欄やスキル表示を見ながら時間を潰していた。
何が遅いって、コウリがいつまで経っても来ない事だ。昨日は考え事をしていてコウリが来た事に気付かったから、じゃあ今日も何か考えてようと思うがこんな時に限って何も浮かばない。
もう30分以上も経過している。何かメッセージでも飛ばしてくれればいいのに…と考えて、もしかしてまだ寝てるのだろうかと眉を寄せる。これじゃあフレンド登録も何の意味も無い。

「…いや、待て」

こっちから飛ばせばいいのか、と気付いて額に手をやる。どうやらまだ朝の眠気が抜けきっていないのかもしれない。というか、メッセージより簡単な方法がある事に気付いた。

フレンド欄からコウリの名を選んで、フレンド追跡を選択する。マップでコウリの位置をモニタリングすれば、一発で居場所がわかる事に気付いた…が、それは遅すぎた。

「…何だよ、アルゲードにいるじゃんか…。

――って、ここ…!!」

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眠気を吹き飛ばす勢いでマップに緑色の点が表示されていた場所まで駆け抜ければ、探していた姿はすぐに見付かった。

「へえ、あいつってそんなずっと独りぼっちな訳？」

「オレもパーティに入らないか誘った事があるんだがなぁ…。苦笑いで流されちまったよ。お前さんどうやってパーティ組んだんだ？」

「ふは、それがさあ…」

「お前ら何話してんだよ!!」

コウリは、俺の馴染みの買い取り屋のカウンターに腕を置き、店主と楽しそうに談笑していたのだった。