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流れる雲の合間から黄金色の日差しが差し込む。生い茂る木々や建物、道行く人、空気までもが橙に染まる時間。
日が暮れ掛けた5時、転移門の前に俺とコウリはいた。


「今日は…まあ、助かった。俺1人だったらレベルは上がってなかった」

「ここまで来ると上がりにくくなってくるしな…。俺もレベリング出来たしよかったよ。
じゃあ、明日もカーネリアに9時でいいか?」


俺がそう言うと、コウリはバツの悪そうな顔をした。もしかして明日は無理なのか?と思いながら、首を傾げて言葉を促す。

「…いや、明日は俺がそっちに行く。転移門で直ぐとはいえ、何か迎えに来て貰ってるみたいでムカつくからな。
お前のホームタウン何処?」


予想外の事を言われたので少し驚いた。転移門便利だからなぁ…などと少しズレた事を考えながら口を開く。

「アルゲードだよ。50層」

「近ェ。1コ下じゃん。
…じゃあ、明日はアルゲードの転移門の前で」

そう言い背を向けたコウリに、俺は慌てて声を掛けた。ゆっくりとした動作で振り向き、何だよとぶっきらぼうに言う。
俺は恐る恐る訊ねた。


「…ね、念の為、フレンド登録してくれませんか…?」


数秒、コウリは無表情で俺を見つめていた。俺は一体いつふざけんなと怒鳴られるかとひやひやして…次の瞬間、コウリの口許が小さく笑みの形を作り、気付いた時にはコウリは腹を抱えて笑っていた。
俺はといえば訳がわからずぽかーん。


「はっ、はははっ!そ、そんな恐る恐る聞かなくても…!ぶはっ、マジウケる!べ、別にいいよそんくらい…!」

「え、マジ!!?」

「あっははは!!やべ、腹いて…っ!!ふははは、はは」


俺は最初は驚いてコウリを見つめていたが、コウリがいつまでも笑い続けるもんだから そんなに笑わなくても…としょぼくれてしまった。
流石に必死に頼んだのに大爆笑されてしまったら落ち込むよ。それがあまり笑わないコウリなら尚更。


「あー面白かった…。まだ腹いてぇよ。で、何だっけフレンド登録?」

「うぅ…俺笑い者…」


ズーン…としょぼくれながら、指を振ってウィンドウを出したのだった。

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羽毛 - 面白かったです。続き期待して待ってます。 (2013年11月19日 14時) (レス) id: 58739b6e62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタリ鳥 | 作成日時:2012年12月18日 1時

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