あなたに好きと言われたい

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『やっぱりハイセンスな北斗の御目にかなうものを選びたい！』

北「言っとくけどスーツはスタンダードなもの着てるからな？」




君は普段俺をおしゃれだと言ってくれるけど、
会社に行くのにそんな奇抜な格好はしてないからね？



ショーケースを食い入るように見つめて
むむむと唸る君に俺の声は届いているだろうか。


君が選んでくれればなんだって嬉しいけれど、
あまりにも突飛なデザインだと会社につけていけないから本末転倒だよ。




『う〜〜〜ん…』




ショーケースの前を右へ左へ、行ったり来たり。



あまりにも悩んでるから心配になってその顔を覗き込むと、


自分でもね、都合よく見えてるってわかっちゃいるけどさ…

さっき見た横顔と同じくらい、
真剣に迷って選んでくれてるから…。



単純な脳みそは幸せを感じてしまうんだ。




『ねぇ北斗、』

北「ん？」

『お隣のお店も見ていい？』

北「もちろん。」









『あ！このシリーズいい！』




移動したお店で、
いくつか並ぶ同じ種類のタイピンを君は気に入ったみたい。

埋め込まれた石が何種類か色ちがいになってる。




『何色がいいかなぁ。
北斗いつもピンクか青のネクタイだもんね。』

北「え？あ、うん。」




そんな細かいとこ見て覚えててくれたの？

いや、女の子ってそういうもんなのかもしれないけど…。



俺今絶賛頭ん中おめでたくなっちゃってるから
すぐ勘違いして喜んじゃうよ。




『緑かわいいなぁ。でもオレンジも意外といいし…。
北斗北斗！どれがいい？』

北「Aに任せる。」

『えー、後から文句言わないでよ？』




言わないよ。

だから君が選んで？



俺はそれが欲しいから。







『決めた！この色にする！』




最終的に一つに絞ったAは、
決めた！という割には不安げに俺にどう…？と確認してきて。

それに嬉しい、と素直に溢せば、
ご機嫌で店員さんを呼びに行った。




『いいよプレゼントさせてよ！』

北「いいから！自分で払うから！」




レジの前での押し問答。

店員さんも困ったように苦笑いで。



今日のお礼に払いたいと君は言ってくれたけど、

俺としてはなんか違うんだ。





だって君は、高地の彼女なんだもん…。



俺はただ選んでもらえるだけでいいの。








だからって…




北「その金高地に使うのにとっとけよ！」




俺なに言ってんだろ。

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