3匹のストーカー【4】

＊ ページ32

「本当に帰るの？ 」

靴を履く玄関で後ろから掛けられる声。
さっきここで俺を追い返そうとしてた人間と同じとは思えない。


「変な事しないって約束破っていいなら、まだいるけど」

振り向いて頭を撫でても抵抗しない。これ、俺が酔ってるから見えてる幻想とかじゃないよな。


「…………」


缶ビールを片手に持ったまま、ふくれっ面を披露するAが可愛くて片手で両側の頰を摘んだ。


「にゃにすりゅの」

「可愛いな〜と思って」


沈んでた目がパッと開き、あっという間に顔が又赤くなった。

このまま持って帰りたいけど我慢。持って帰らずとも今すぐどうにかしたいけど我慢。



ガチャガチャ。


「A！ 」


次に何を言うかを考えていたら、鍵が開いた音と一緒に大きな声が被せられた。


振り向くと、いつもAの側にいるセフンって奴。その後ろにギョンスもいる。


鍵、、、


「お前ここで何してんだよ！ A大丈夫か？ 」

「うぇ、ゆん」

「手離せよ」


頰から俺の手がセフンによって振りほどかれる。ここの鍵持ってるのこいつか？



「っセフンまだ仕事中でしょ、なんで？ 」

「僕が呼びに言ったから」

「あ、、、ギョンス君」

「ミンソク君、どういうつもり？ 」

「……忘れ物取りに来たって言っただろ？ ギョンスのおかげで見つかったよ。じゃあ」






2人が乗って来たエレベーターが止まったままだったから、乗り込んだ。




ギョンスが入れたスイッチを、俺も入れたとしたら、Aの気持ちはどうなるんだろう。


好きが二分される？


今の彼氏であるギョンスが有利なんて、全く思わない。

ベク？ セフン？ あんな2人はどうだっていい。








さあ、次はどうしようか。



最初から、最初からやり直すんだ。



今度こそ、何１つ間違え無いように。

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