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08  side・A ページ34

ある日、とある女に声をかけられた。







「国見君、ちょっと良いかな」





由良A。


青葉城西高校2年、男子バスケットボール部マネージャー。






普段は冷たいけれど笑った顔が一段と可愛いらしい・・・・・・


そんな話を前にどこかで聞いたが、正直言ってどうでもいいことこの上ない。









校舎裏に呼び出されて。






「好きです」



やっぱりな、なんて思う反面、好奇心と欲、意地悪い感情が浮かんでくる自分も何処かいて。









知っていたのだ。




俺たちの“コートでの指揮者”が、及川徹が、ずっとこの女を目で追い続けていたことを。








ねえ、及川サン。




アンタは自分のことを、天才なんかじゃないって言いますけど。



アンタが誰よりも努力してることを、知ってはいますけど。









それでも、うらやましかった。




バレーボールだけじゃなくて。







誰からも頼りにされて、信頼されてるアンタが。









いつも無表情でいるせいか、誰も俺の苦しみになんて気づいてくれなくて。









アンタは良いですよね、岩泉さんが隣で支えてくれるから。




アンタは良いですよね、平平凡凡のβだから。









及川さんのことは嫌いじゃない。




むしろ、少しチャラけたところもあるけれど、試合では一生懸命で、尊敬してる面もあった。









だけど、もう無理だ。






家では曲がった愛を押しつけられ、学校では何一つ口にだせない俺と。



一心不乱にそぞきこめるモノがあって、なおかつ周りからの信頼を、愛を、勝ち得ている彼。






こんな両極端の二人が同じチームメイトなんて、本当笑えちゃいますね。









及川さん、ごめんなさい。









「別に、良いですよ? ・・・・・身体限定で、ですけど」









こくりと小さくうなずいた由良Aの唇を、強引に奪い取る。









貴方の大事なモノ、一つ俺にもくださいな。

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sukai(プロフ) - 鎖奈さん» 了解しました。 (2015年2月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 4118f4027b (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - sukaiさん» そうおっしゃっていただけて、とても嬉しいです。ピンク要素の少ない、暗くて重いだけのオメガバースに需要があると思ってなかったので・・・。新しい短編集でもよろしくお願いします。 (2015年2月6日 22時) (レス) id: a4e6000211 (このIDを非表示/違反報告)
sukai(プロフ) - この作品とても好きです(≧∇≦)更新楽しみにしてますo(^-^)o (2015年2月6日 19時) (携帯から) (レス) id: 4118f4027b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖奈 | 作成日時:2014年11月22日 20時

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