０５ side・Ａ ページ31
気がついたら、時計の針が１２の文字を差していた。
何も身につけていない身体が外気に晒されて、思わず肩をすくめる。
隣ですやすやと寝息を立てているのは、俺の婚約者、らしい。
親同士が決めた結婚で、そこに、愛なんてなくて。
「・・・だる・・・・・・」
隣に置いてあったミネラルウォーターを、一息に飲み干す。
何で俺、こんなことしてんだろ。
飲みきれなかった液体が、俺の唇を、頬を伝い、隣の彼女の額に落ちる。
その冷たさに反応したのか、隣の彼女が目をぱちりと開けた。
「あ、英君、おはよ〜」
そうヘらりと笑みを浮かべてすり寄ってくる女に、何一つ華やいだ感情なんて抱けなくて。
どうしようもない程に、頭の中には別の女の顔がちらついていた。
笑った顔なんて数えるほどしか見たことなくて、いつも醜く歪んでいた記憶の中の彼女の顔。
“好きです”
“愛してます”
彼女からいくら愛をもらっても、決して返そうとはしなかった。
彼女が欲しいと泣き叫ぶ想いは、全部見ないふりをした。
だって、壊れてしまうから。
彼女が俺を愛して、俺まで彼女に手を伸ばしてしまったら。
きっとこのままの関係ではいられなくなってしまうから。
・・・・・・・・彼女だけには、“綺麗なまま”で笑っていて欲しいから。
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sukai(プロフ) - 鎖奈さん» 了解しました。 (2015年2月6日 22時) (携帯から) (
レス) id: 4118f4027b (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - sukaiさん» そうおっしゃっていただけて、とても嬉しいです。ピンク要素の少ない、暗くて重いだけのオメガバースに需要があると思ってなかったので・・・。新しい短編集でもよろしくお願いします。 (2015年2月6日 22時) (レス) id: a4e6000211 (このIDを非表示/違反報告)
sukai(プロフ) - この作品とても好きです(≧∇≦)更新楽しみにしてますo(^-^)o (2015年2月6日 19時) (携帯から) (レス) id: 4118f4027b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鎖奈 | 作成日時：2014年11月22日 20時
