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09  side・T ページ25

あれから、10年の月日が流れ。



俺のAへの想いも、別の種類のものに変化したように思う。









「・・・・あ」



郵便受けに入っていたのは、Aと岩ちゃんの結婚式の招待状。








俺と2人は別々の大学に進学したし、俺は就職のために宮城を出たから。



だから俺は、大学生の2人も、20代前半の2人のことも、ほとんど知らないけど。









でも、




「・・・・・・・良かったなあ」




Aと岩ちゃんが現在幸せなんだろうなってことは、確信できている。









2人、今、どうしてんのかな。



音楽にかかわる仕事に就きたいって言ってた、Aの夢は叶ったんだろうか。








そんな風にして2人の未来に思いをはせていると。









「・・・・・徹?」




心地の良い低温の声が俺の耳に届く。








「なにぼーっとしてるわけ、風邪ひくわよ」



ぶっきらぼうに俺の首にマフラーを巻いた彼女は、1年半交際を続けている俺の大事な人だった。









真っ黒いショートボブの髪に、意志の強そうな切れ長の瞳。



Aとは全然似つかない人だけど、でも、なんだかんだで優しいところは似てるかも?









「なにそれ」



興味津津と言った様子で、招待状に手を伸ばそうとする彼女。






彼女に取れないように招待状を高く持ち上げてやると、


むかつく、なんて言って背中を思いっきり蹴られた。






こんなところは、岩ちゃんにも似てるのかな。









拝啓、Aへ、岩ちゃんへ。





俺の恋は、思うようにはいかなかったけど。



でも俺は、今、ちゃんと幸せです。









「で、結局その手紙はなんなわけ」




「んー、ラブレターじゃなーい?」




「うっざい死ね!!!」







ちょっと嫉妬深い彼女に愛されながら。









「ごめんごめん、機嫌直してよ」




「やだ、ぜったいやだ・・・・けど」




「けど?」








「キス、してくれるなら・・・・許してやらないこともない」







ああ、もう、可愛すぎ。



ゆっくりと唇が重なって、俺ははじめて自分の幸せをただただ祈った。




















【これも俺の幸せの形】









end

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sukai(プロフ) - 鎖奈さん» 了解しました。 (2015年2月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 4118f4027b (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - sukaiさん» そうおっしゃっていただけて、とても嬉しいです。ピンク要素の少ない、暗くて重いだけのオメガバースに需要があると思ってなかったので・・・。新しい短編集でもよろしくお願いします。 (2015年2月6日 22時) (レス) id: a4e6000211 (このIDを非表示/違反報告)
sukai(プロフ) - この作品とても好きです(≧∇≦)更新楽しみにしてますo(^-^)o (2015年2月6日 19時) (携帯から) (レス) id: 4118f4027b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖奈 | 作成日時:2014年11月22日 20時

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