Sweet butterfly〜Donghae〜5

27:ただ、愛してる ページ27

*



｢ｵｯﾊﾟ…｣

｢ごめ…ん､はは､情けないな｡俺｣


そう言うと､私の手に落ちた涙と自分の頬の涙を拭ってﾆｺｯと笑った｡


｢ううん､そんな事ない｡ゆっくりでいいから､話して？｣

｢うん…俺たち韓国人の男はさ､年頃になると兵役に就かなきゃならないだろ？｣

｢うん…｣

｢今までは､当たり前の事だと思ってたんだ｡
そりゃ､芸能人だからｷﾞﾘｷﾞﾘまで働いてからだし
戻ってから同じように人気があるのかそんな不安もないわけじゃない｣


知ってる…
ﾋﾁｮﾙｵｯﾊﾟだってﾖﾝｳﾝｵｯﾊﾟだってそう言ってたし｡


｢けどさ…怖いなんて思った事なかったんだ｡ﾋｮｸも一緒に行くつもりだし｡
どｰって事ないって｣

｢……｣

｢でも…お前と一緒にいるようになってから
日に日にその気持ちが強くなってきたんだ｣

｢私…？｣

｢うん…こんな言い方すると負担に思うかもしれないけど…
例えばお互い仕事で会えない時にさ。
星がｷﾚｲな夜､携帯で撮ろうとしてもｶﾒﾗで収めようとしてもﾀﾞﾒで｡
この星全部集めてAに見せたいなって思ったり､
雨の日に部屋で雨音聞きながらAとｺﾞﾛｺﾞﾛするのが好きだったり…
まぁ､何て事ない事がさ…
そういうのが出来なくなるってふと考えたらﾂﾗくて…｣

｢ｵｯﾊﾟ…｣

｢いい大人が何子供みたいな事言ってんだろうな…｣


ああ､何てこの人は繊細なんだろう｡

きっと､私なんかよりずっと…


｢ううん､ｵｯﾊﾟ…ごめんね｡私…自分の事しか考えてなかった｡
私は日本人で､兵役の事とか聞いてはいても実感なかった｡
日常の何気ない事が出来なくなる事の怖さなんて､考えた事もなかった…
ねえ､ｵｯﾊﾟ｡もしもしばらく会えなくなったとしても
星が綺麗な夜はｵｯﾊﾟを想うし､
雨が降ればｵｯﾊﾟのくれたｷｬﾝﾄﾞﾙを灯して1人で過ごすよ｡
それでね､雨が止んだら窓を開けて虹をｶﾒﾗに収めるよ｡
毎日､手紙書くよ｡1分も1秒もｵｯﾊﾟを想ってる｣

｢A…｣

｢うん､ｵｯﾊﾟ｣

｢愛してる｣

｢うん…ｵｯﾊﾟ｡私､も…(泣)｣


ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ､涙が溢れて｡

頬を伝う涙を､ｵｯﾊﾟの唇がゆっくり撫でていく｡


｢ごめんな…｣

｢…ｵｯﾊﾟ(泣)｣


何で私たち､無駄な時間を過ごしたんだろう｡

こんなにｵｯﾊﾟが好きで｡

こんなにもｵｯﾊﾟを愛してるのに｡


｢ねえ､A…｣

｢ん…？｣

｢今すぐ抱きたい｣


ただ､愛してるって伝えればよかったのに＿



*

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