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「おかえり」
「ただいま」
19時過ぎに帰ってきた貴くんは、
バッグを置いてシャワーに行った。
お鍋の肉じゃがを温め直して、
白い器によそう。
それからほうれん草のおひたしと、蓮根のきんぴら、
お揚げと大根のお味噌汁、白いご飯。
ふたり分を並べ終えると、ちょうど貴くんがシャワーから出てきた。
わしわしとネイビーのタオルで頭を乾かす。
ふわっと甘いシャンプーのかおり。
冷たい麦茶を一杯のんで、そのまんまドライヤーをあてにまたバスルームに戻る。
空になったコップに、新しい麦茶をそそぐ。
「おまたせ」
ちょっぴりとろんとした目で、椅子に座った。
「おつかれさま」
「ん、うまそー。いただきます」
「召し上がれ」
「ん〜、うま!」
「よかった」
あの時とおんなじ顔をして、貴くんは肉じゃがをぱくぱく食べた。
「……あん時より、もっとうまいわ」
スっとお箸を止めた貴くんが、ぽつりとつぶやく。
「あの時は、時間がなかったから……」
「ん、そか」
それ以上、なんにも言わず、残りのおかずも綺麗に平らげる。
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凪紗。 - さなさん» 身に余る言葉をありがとうございます。励みになります。これからもどうぞご覧頂けると嬉しいです。 (2019年6月17日 0時) (レス) id: ce83842b8b (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 最高な作品です!この作品は、もっと評価されるべきだと思うくらい、最高です!!!これからの更新、楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年6月16日 21時) (レス) id: d6e98db13a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凪紗。 | 作成日時:2019年6月13日 12時