19.悲しみだって ページ20
いつもとおなじように、
洗濯機を回す。
これから洗うものなのに、
丁寧に畳んでカゴに入れてある洋服を見て
ああ、貴くんだなって感じる。
今日の夜ご飯は、肉じゃがにしよう。
初めて……
貴くんのおうちに来た時に作った肉じゃが。
あの時はお互い余裕がなくて……
時間もなくて……
全然味がしみてないのを、貴くんはおいしいってぱくぱく食べた。
トントンと野菜を切る。
お鍋に油をしいて、玉ねぎが透明になるまで炒める。
にんじんとじゃがいもを入れて、
少し火が通ったら豚肉を足して。
お出汁と、醤油と、みりんと砂糖。
ふわっと香る甘い匂いに、蓋をする……
お母さんに教えて貰った、何の変哲もない肉じゃがが、
私にとってはいま、特別な思い出の味。
ことことと音を立てるお鍋を
ぼぉっと見つめていると
玄関からガチャリと音がした。
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凪紗。 - さなさん» 身に余る言葉をありがとうございます。励みになります。これからもどうぞご覧頂けると嬉しいです。 (2019年6月17日 0時) (レス) id: ce83842b8b (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 最高な作品です!この作品は、もっと評価されるべきだと思うくらい、最高です!!!これからの更新、楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年6月16日 21時) (レス) id: d6e98db13a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凪紗。 | 作成日時:2019年6月13日 12時